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【連載】泣いて笑って訪問看護

第6回 『笑いの中に摘便あり』―訪問看護の利用者様から学ぶ排便完了サイン

執筆 川上 加奈子(かわかみ かなこ)

株式会社のものも よつば訪問看護リハビリステーション 看護主任

医療の場が在宅へと比重が高まるものの、まだまだ知られていない訪問看護。ここでは訪問看護の実際について、エピソードを通じてご紹介します。


たかがお漏らし、されど・・・

『便失禁』という言葉を聞いた時、どう思われるだろうか?

別にたいしたことじゃない、すぐにオムツを替えればいいことではないかと思われる方もいるかも知れない。

しかし、頚髄損傷などで意識的に排便をコントロールできない方にとって、便失禁をしてしまうということは、外出への恐怖にさえ繋がる。

想像してみてほしい。 “自分の知らない内に外出先で便が出てしまったら・・・”

自分も恥ずかしい上に、相手にも迷惑をかける。 臭いも気になるため、すぐにでもその場を立ち去りたい。 そういう不安が押し寄せてくるのではないだろうか。

そういう意味でも、排便コントロールは神経麻痺の方にとって非常に重要なのである。

そのため、ほとんどの利用者様が、決められた曜日にどれだけしっかり便を出し切れるかということに、とても気を遣われている。

看護師と相談しながら食べる物を工夫したり、摘便の途中で水分補給をするタイミングを変えてみたりと、その方法はさまざまである。

そんな中、便の出切りのサインを自ら分析し、看護師とヘルパーと連携を組んで、確実に排便を終わらせるという方法を編み出された利用者様がいる。

20代での交通事故で頚髄不全麻痺となられた方であるが、その方は実に御自身の身体を勉強されているのである。

「今、どこを押したら便が出てきましたか?」

「便の性状は液体になってきました?」

「今どんな臭いがしてますか?」・・・

看護師とヘルパーの協力のもと、長年の経験からこの利用者様が編み出した出切りのサインは以下の4つだそうだ。

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