【連載】褥瘡ケア あなたの疑問をズバリ解決!

褥瘡の栄養状態をアセスメントするための血液データ・観察項目は?

執筆 石川 環(いしかわ たまき)

岩手県立大学大学院看護学研究科 博士前期課程

褥瘡の予防・治癒促進に欠かせない栄養管理。ここでは栄養状態の観察・アセスメント、栄養補助食品の選び方などをわかりやすく解説します。


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Q1. 褥瘡の栄養状態をアセスメントするための血液検査の項目は?

創の状態と血液検査を総合的に評価しよう

 スクリーニングにより低栄養状態であることを確認したら、栄養サポートを行います。

 栄養サポートチーム(NST)が存在する施設では、連携して患者さんに適切な栄養管理を行います。患者さんに最も近い看護師は、患者さんの変化をいち早く把握することができるため、チームに任せるだけでなく、最新の情報を提供する重要な役割を担いましょう。

 栄養サポートを開始したら、定期的にモニタリングして評価し、補正を行っていきます。褥瘡がある患者さんの場合には、創の状態も観察します。肉芽の色が薄く、不良肉芽があれば、低栄養状態が継続していると判断します。

蛋白異化亢進状態に注意しよう

 褥瘡の改善には蛋白質の補給が必要ですが、過剰に補給すると腎臓に負担がかかってしまいます。そのため、褥瘡改善のための蛋白質補給のバランスは、腎機能を見て判断します。

 BUNとクレアチニンのデータを確認しながら、蛋白質の補給を行います。

 しかし、エネルギーが不足している場合には、糖の代わりに筋蛋白が分解されてエネルギーに利用される「蛋白異化亢進状態」となり、その場合でもBUNが上昇します。このような状態では、窒素バランスを見ることでも確認できます。

 また、異化亢進状態では、肉芽増殖に必要な蛋白が利用され創傷治癒が停滞してしまいます。そのため栄養状態については、創の状態と表1に示した検査データを確認しながら評価します。

表1 主な検査データ項目 表1 主な検査データ項目

 続いては、「Q2 褥瘡の栄養状態をアセスメントするための観察ポイント・指標は?」です。

Q2. 褥瘡の栄養状態をアセスメントするための観察ポイント・指標は?

 栄養評価表を用いてスクリーニングを行い、体重の推移と食欲の有無に特に注意して観察しましょう。血液検査はアルブミン値だけでなく複数の項目で総合的に評価します。

 褥瘡発生の危険因子となる低栄養状態を確認する指標のひとつに、主観的包括的栄養評価(subjective global assessment;SGA)を用いることが推奨されています。また、高齢者には、簡易栄養状態評価表(mini nutritional assessment;MNA®)を用いてもよいとされています。

 ### MNAによるスクリーニング項目

A.過去3ヵ月間で食欲不振、消化器系の問題、そしゃく、嚥下障害などで食事量が減少しましたか?

0=著しい食事量の減少
1=中等度の食事量の減少
2=食事量の減少なし

B.過去3ヵ月間で体重の減少がありましたか?

0=3kg以上の減少
1=わからない
2=1~3 kgの減少
3=体重減少なし

C.自力で歩けますか?

0=寝たきりまたは車椅子を常時使用
1=ベッドや車椅子を離れられるが、歩いて外出はできない
2=自由に歩いて外出できる

D.過去3ヵ月間で精神的ストレスや急性疾患を経験しましたか?

0=はい
2=いいえ

E.神経・精神的問題の有無

0=強度認知症またはうつ状態
1=中程度の認知症
2=精神的問題なし

F.BMI体重(kg) ÷ [身長(m) ]2

0=BMIが19未満
1=BMIが19以上、21未満
2=BMIが21以上、23未満
3=BMIが23以上

 これらの評価表を用いて、患者さんの栄養状態をスクリーニングします。

 スクリーニング時に、特に注目すべきことは、体重と食事摂取量の変化です。過去6ヵ月間で10%以上の体重減少や、2週間で体重が減少している場合には、栄養状態の低下があると判断します。さらに、食欲がないという症状は身体の異常を示す重要なサインであり、経口から美味しく食べられているか、必ず観察を行いましょう。

 同時に、血液検査のアルブミン値、ヘモグロビン値も確認します。その他、低栄養状態の指標として、総リンパ球、総コレステロールも確認しましょう。

 アルブミンやヘモグロビンの数値が低いと、褥瘡は不良肉芽となり治癒が停滞してしまいます。この際、アルブミン値だけに着目して評価しないよう注意します。なぜならばCRP値が上昇している間は、内臓蛋白であるアルブミンの合成は抑制されています。

 つまり、感染が生じている場合には、蛋白質を追加してもアルブミン値が改善されないため、アルブミン値だけで判断して蛋白質を過剰に投与しないよう注意しましょう。

(『ナース専科マガジン』2015年7月号から改変利用)

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