【連載】褥瘡ケア あなたの疑問をズバリ解決!

【褥瘡】栄養を補う食品の適切な選び方は?

執筆 石川 環(いしかわ たまき)

岩手県立大学大学院看護学研究科 博士前期課程

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褥瘡の予防・治癒促進に欠かせない栄養管理。ここでは栄養状態の観察・アセスメント、栄養を補う食品の選び方などをわかりやすく解説します。


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褥瘡治癒のための適切な栄養を補う食品の選び方は?

褥瘡のある患者さんの多くが栄養補給の対象となります。基本的には高カロリー・高蛋白質の栄養を補う食品を選びましょう。

『褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)』では、褥瘡発生前は、蛋白質・エネルギー低栄養状態(PEM)の患者さんに対して、疾患を考慮したうえで、高蛋白質・高エネルギーのサプリメントによる補給を行うことを勧めています。

褥瘡発生後は、褥瘡治療のために基礎エネルギー消費量(BEE)の1.5倍以上のエネルギーを補給することと、必要量に見合った蛋白質を補給することが勧められています。

さらに亜鉛やアルギニン、ビタミンCなどが欠乏しないように補給することも推奨されています。

現在、さまざまな種類の栄養を補う食品が販売されていますが、使用する前には、患者さんにとって何が不足しているのかアセスメントします。

褥瘡がある場合には、BEEの1.5倍以上のエネルギー補給が必要ですので、褥瘡のある患者さんの多くが補給の対象になることが予想できます。

そして、エネルギーと蛋白質を補給する必要があるため、高カロリー、高蛋白質の栄養を補う食品を選択します。

褥瘡治癒に必要な栄養素はバランスよく補給することが大切

亜鉛は褥瘡治癒に重要な微量元素ですが、味覚にも関与しています。

亜鉛が不足すると味覚が低下し食欲がなくなり、さらに亜鉛が不足してしまうという負のスパイラルに陥ります。そのため、亜鉛の補給には、味覚を取り戻し食欲を回復させ、食事摂取量を増加する目的もあります。

褥瘡治癒にはアルギニンやビタミンCの補給も必要ですが、どれかひとつだけを補えばよいのではなく、バランス良く補給することが重要です。

近年では、必要なビタミン、微量元素にアルギニンが含有されている製品が販売されていますので、褥瘡患者さんにはそのような製品を選択すると効率的に補給が行えます。

また、患者さんによって嗜好が異なるため、摂取しやすい味を検討しながら補給することも重要です。

蛋白質補給の適正量は?

蛋白質の補給適正量は、非蛋白カロリー/窒素比(NPC/N比)を用いて算出します。

NPC/N比とは、蛋白質量に対して他のエネルギー(糖質・脂質)をどのくらい補給すれば、補給した蛋白質を効率よく利用できるかを示す指標です。

NPC/N比は図1のように算出されます。

図1 適正蛋白質量の算出(NPC/N比) 図1 適正蛋白質量の算出(NPC/N比)

具体的なNPC/N比の目安は下記です。

  1. 非侵襲下:150~200
  2. 褥瘡がある場合:80~150程度
  3. 腎不全:200以上

ちなみに経腸栄養剤の場合、ほとんどにNPC/N比が表示されているので、選択する際には参考にするとよいでしょう。

腎機能が低下している場合には、蛋白質制限があるため補給に難渋するケースがあるでしょう。エネルギーが不足していると、前述したように異化亢進状態になるため、対策の1つとしてエネルギーをしっかり補給します。

そして、蛋白質の補給は、必須アミノ酸スコアの高い製品やアルギニンを強化した栄養補助食品を選択することで、必要なアミノ酸を効率よく摂取することができます。

(『ナース専科マガジン』2015年7月号から改変利用)