【連載】吸引困難5大ケースを攻略する!

痰の吸引の条件やタイミングはこれで合ってる?

解説 小林恵子

神奈川県循環器呼吸器病センター ICU病棟 集中ケア認定看護師

解説 石山 都

神奈川県循環器呼吸器病センター ICU病棟 集中ケア認定看護師

痰の吸引を行なう上でなんとなく行なっていることを再確認しましょう。具体的なポイントを解説します。


「2時間ごとの吸引」というルーチン業務には、根拠がなかった!

教科書などには「2時間ごとの吸引」という記述も見られますが、この数字に根拠はありません。

吸引は侵襲性の高い手技で、低酸素血症、気管支損傷や無気肺などの合併症を起こすこともあります。患者さんに大きな苦痛を与える処置であるため、不必要な吸引は避けるべきで、アセスメントのない定期的な吸引は適切とはいえません。

ただし、長時間吸引しないことによって、分泌物が貯留して気道が閉塞したり、低酸素状態、換気量の低下、呼吸苦などを生じさせてはいけません。

ルーチン業務として行うのではなく、きちんとアセスメントした上で必要であると判断された場合に、吸引を実施しましょう。

「吸引の適応条件」として参考になるガイドラインって?

吸引の適応となるのは、

①気管切開や気管内挿管などの人工気道を用いている患者さんや、

②自分で気道内分泌物の喀痰ができない人

です。

さらに、侵襲性の低い排痰方法を用いても排痰ができず、以下のような状態にあって気管内に分泌物が貯留していると評価された場合に適応となります1)

  1. 努力性呼吸が強くなっている
  2. 視覚的に確認できる(気管切開などの場合で明らかに痰が噴出しているのが見えるなど)
  3. 胸部聴診で副雑音が聴取できる。あるいは呼吸音の低下が認められる
  4. 胸部触診でガスの移動に伴った振動が感じられる
  5. 誤嚥した場合
  6. ガス交換障害がある(血液ガス値などの低下)

循環動態が不安定な場合は、医師の監督のもと万全を期して行いましょう。

呼吸のパニックコントロールが安楽な排痰に役立つ

処置の苦しさから吸引を拒否している場合、呼吸困難になりパニック症状を呈することがあります。

その場合、背中をさすったり、あるいは体を軽く屈曲させるなど、その患者さんがもっとも安楽に感じる体位をとらせたり、また、背中をさすりながら呼吸のタイミングを整えたりすることで、患者さんを落ち着かせることができます。

どの体位が一番楽になるのかを、事前に話し合うなどして、パニックコントロールを実践するといいでしょう。

呼吸の安定が図られると、体位排痰法なども行いやすくなり、吸引をしないでも痰が出せるようになる患者さんもいます。

参考文献

1)日本呼吸療法医学会コメディカル推進委員会・気管吸引ガイドライン作成ワーキンググループ:気管吸引のガイドライン(成人で人工気道を有する患者のための)、2007年9月9日最終改訂

(ナース専科マガジン2012年12月増刊号『一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

【吸引のまとめ記事】
* 吸引の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コツ

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