【連載】山内先生の公開カンファランス

第15回 SpO2が70%台になってしまった患者さん(その1)

解説 山内 豊明

名古屋大学大学院医学系研究科 教授 医学博士/看護学博士/医師/看護師/保健師/米国・登録看護師、診療看護師

今回はSpO2が下がった患者さん。酸素を上げるべきか、ほかのことをするべきか、みなさんにアセスメントしてもらいました。


今回の事例
[さくらさんから提供された事例]

慢性心不全の患者さんが肺炎を併発し、入院してきた83歳の患者さん。入院時より経鼻カニューラで3L/分で酸素を投与していました。入院時の医師からの指示は「SpO2 92%未満で酸素を1Lずつ上げる、リザーバーマスクに変更も可で最大8Lまで。97%以上で1Lずつ下げる」となっていました。入院時のSpO2は80%台だったものの、経鼻カニューラ3Lで95%に上昇。
ところが、ある日、患者さんの状態が悪化し、SpO2が70%台となっているのを発見しました。

→あなたなら、どうケアする?


まずは、事例のような状態の患者さんに対して、まずはどうケアをするのかをコミュニティの会員に聞きました。回答数は528人。


山内先生の回答を先に読みたい方はこちら
山内先生の回答


みんなの回答

あなたならまずはどうケアしますか

回答割合グラフ

約半数の人が、吸引をすると答えています。次いで多かったのが、バイタルサインを確認する、でした。


事例つづき
喀痰を吸引するもSpO2は上昇しませんでした。呼吸はやや頻拍、意識レベルはJCS I台からII台へ低下、脈拍が80台から100台へ上昇、血圧は低下なし、体温は37℃前半、末梢冷感がありました。


さらに、患者さんが上記のような状態になったとき、酸素投与方法を変更するかどうかを聞きました。

患者さんが上記のような状態になったとき、酸素投与方法を変更しますか?

回答割合グラフ②

ほとんどの人が、酸素マスクやリザーバーマスクに変更すると答えていました。

引き続き、事例をどう考えたのか、みなさんのコメントを紹介していきます。

「酸素マスクに変更する」を選んだ人の回答理由

●意識低下がみられる場合口呼吸になっていることが多いのでまずはてっとり早く他のリスクを招きにくいマスクに変え、同時進行でアセスメント&Drコールを検討する。

●とりあえずカニューレよりも高濃度の酸素を投与。反応を見てリザーバーに変更する。ナルコーシスのリスク考慮。

●経鼻カニューラは3L以上だと使用しない。

●より流量の多い酸素を投与する必要があるため。

●酸素マスクに換えたほうがより早くSpO2が上昇すると思う。

●低酸素による低酸素脳症になっているのではないかと考え、まずは酸素流量を上げていく。酸素カニューラ適応量を超えたら酸素マスク、さらに酸素流量を上げる必要があるようであれば、リザーバーマスクに変えていく。

●経鼻では酸素が充分に送気されていない可能性を考えました。

●ひとまずマスクに変えて、それでもダメならリザーバーにする。

●カヌラでキープできなくなってきているため。また、その人が口呼吸しているようであれば、カヌラでは意味がないため。

●頻呼吸になっており、あえぐような口呼吸になっているのではないかと考え、マスクに変更。その後、サチュレーションの様子見ながら投与量を増やしていく。

●末梢冷感でSATが測りづらくなるので、測れていないという可能性があると考えます。冷感がどの程度か分かりませんが、チアノーゼが出ていないのならば急激に酸素をかませる必要はないと考えました。 また、呼吸が困難な状態が進行すると鼻より口で呼吸に移行し易いと聞いたため、 まずはマスクに変更、それでも上がらなければリザーバーへの変更を考えます。 一気に上げたからといってナルコーシスになるとは思いませんが、念のため徐々に上げていきます。

「リザーバーマスクに変更する」と答えた人の回答理由

●酸素マスクでは十分に高濃度の酸素が供給できないから。

●痰は引けないが、頻呼吸や頻脈にもなっており、COPDがないようなので、sat70台であれば指示の最大限の酸素を投与します。また、慢性心不全なので、肺に水が溜まっていることも考えて、ベッドupもして、Drに報告します。

●口呼吸にも対応できるから。

●まずは酸素飽和度を上げることを考える。

●リザーバーマスクへの変更も可という指示がでているため、リザーバーマスクへ変更する。

●より高濃度の酸素が得られる。カニューレでは3リットル以上は上げないほうがいい。

●この時点で出来る限りの高濃度酸素投与をするべきと判断したので。

●とりあえず酸素化してから次を考えるため。

●まずはSpO2をある程度(90%前後)まで回復させてからSpO2低下の理由を考えます。低酸素状態が持続するのは良くないしCOPDがなければ一時的に酸素投与量を増加させても良いのではないかと考えます。

●効果的に酸素吸入ができていない可能性があるから。

●70%は低すぎるため、酸素マスクだけだと酸素量が少ないので、リザーバーマスクでの対応がベストかと思ったから。

●低酸素脳症の危険回避。

●呼吸状態の改善と心負荷の軽減を優先して。

●意識レベルのの低下度合いがわからないので回答困難ではあるが、とりあえず血中酸素濃度を上げる目的。

「その他」と回答した人の回答理由

●ドクターに報告し、指示を聞く。心不全だけでなく肺炎も併発しているので、酸素量をあげでも改善しない可能性もあるため。また他の原因があるかも知れない。

●吸引した状態でマスクにするか様子観察するかとか対応を変える。

●バイタルや血中CO2濃度なども確認したい。

●心電図をつけ、医師にバイタルなどを報告。入院時よりレベル低下、頻脈、呼吸数増加などの状態が見られるため、医師に報告し指示を仰ぐ。また他のNs.にEKGをつけてもらい詰所で経過をみる。頻回に訪室。バイタルチェック、タッピング、吸引をするなどを行う。

●主治医に状態報告をする。吸引しても状態が変わらないのは危険だと判断したため。

●チームで相談してから行動したいので。

●BIPAPを考える。

●バイタルを確認し、必要と認めたら援助をします。酸素が確実に投与されていなければ、確実な投与をし、痰の貯留によれば吸引し、モニターの装着に問題があれば確実に装着し、末梢の冷感により正確な値が出ない場合は場所を変えて観察します。そして、脈拍、表情、呼吸苦、呼吸状態などを観察して必要であるなら医師の指示通りリザーバーに変更し速やかに医師とリーダーに報告します。

●リザーバマスク変更も可能という指示が出ておりリザーバマスクは高濃度の酸素投与が可能であるため選ぶか迷いましたが、現在の状態から考えてまず担当医師の指示を聞くことが重要だと考えます。

●SpO2モニターの場所を変える。末梢に冷感があるため。

●酸素マスクに変更し、5Lにする。心不全の悪化と考えるため。

「経鼻カニューラのまま投与し続ける」を選んだ人の回答理由

●呼吸回数が増えているので酸素マスクではナルコーシスになるかもしれないと思ったから。

●二酸化炭素が溜まっているかもしれないから。

●CO2ナルコーシスの可能性があるため、医師へ報告してから対応する。

●喀痰を吸引してもサチュレーションが上がらないことと、末梢が冷たいことから、サチュレーションが低い原因は、肺の貯留物が原因ではなく、循環不全を考えたから、酸素投与方法を変えても変わらないと思ったため、現状と変わらずカニューレにした。

●酸素が悪い理由が取り込めてないのか心不全からくる循環不全であるか判断つかないから。

この患者さんの酸素を上げるときは、どのように上げますか?

回答割合グラフ③

次に、回答理由を紹介します。

「1Lずつ上げて、様子を見る」を選んだ人の回答理由

●過度の酸素投与は呼吸不全によるナルコーシスを誘発しかねない。

●とりあえず医師の指示に従って増量したのち、早期に医師に報告する。

●状態を確認しながら、投与量を変更していく。

●SAT値が上昇するのに時間がかかる場合も多いので、急にMAXまで挙げずに徐々に上げて調整していくようにしています。

●最初からマックスにすると患者の必要な酸素量がわからないから。

●様子を見ながらアセスメントしていきたいから。

●ナルコーシスが怖いからとりあえず1Lずつあげて様子を見る。

●医師の指示に92%以下で1Lずつ上げるとなっている。

●ゆっくり上げ状態見ないと、高酸素になりナルコーシス起こす可能性も否定できない。

●1Lずつあげ、上限までいってもSpO2が92%未満なら、医師へ報告する。

●3Lから始めているので、いきなり上げすぎるのは良くないと思うから。

●過剰投与して減量するより、徐々に増量しSpO2目標値に達したほうがいいと思うから。

●一気に上限までにするのは、CO2ナルコーシスを起こす危険性も考えられるため。

次ページでは「上限まで上げて様子を見る」と「酸素投与量は変更しない」の人の回答理由を紹介します。

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