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【連載】これで対応に困らない! せん妄の基本

第3回 せん妄って何?③せん妄の主な症状ー幻覚ー

執筆 井上 真一郎(いのうえ しんいちろう)

岡山大学病院精神科神経科 助教

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大きな手術後やがんの終末期などに極めて高頻度にみられる「せん妄」。せん妄は、注意力や意識が低下することで患者さんが転倒・転落したり、幻覚が見えて暴れたりと治療を大きく阻害するものです。特に低活動型のせん妄は見落としがち。本連載ではそんなせん妄へのアプローチ法をやさしく解説します。


今春から外科病棟に配属された看護師のAさん。 担当患者さんが手術後にせん妄を発症してしまい、日夜悪戦苦闘・・・。これを機に、せん妄について体系的に勉強したいと考えています。

せん妄で幻覚がでた時は?

看護師さん:「せん妄の患者さんで幻覚を訴える人がいるのですが、どのように関わったらいいのか、わからなくて困っています。幻覚について詳しく教えてもらえますか?」

井上先生:「では、今回は幻覚について解説しましょう。せん妄でみられる幻覚は幻視がほとんどですが、ここでは幻覚としておきます。

まず、患者さんに幻覚の症状があるかどうかは、どうやって評価していますか?」

看護師さん:「『そこに人がいる』とか、『壁に絵が書いてある』など、おかしな発言があるかどうかで評価しています」

井上先生:「なるほど。では、そのような発言がみられない場合は?」

看護師さん:「あえて詳しくは聞いていません。でも、幻覚がある患者さんは大抵そのことを言うのではないでしょうか?」

井上先生:「そのように考える医療スタッフは多いようですね。

ただし、実際にはちゃんと教えてくれる患者さんばかりではありません。患者さんによって、どこか不思議と思っている場合は『こんなことを言うと変に思われるかも知れない』と考えて隠す人もいますし、逆に『自分だけでなく他の人にも見えている』と感じてわざわざ言わない人もいるんですよ」

看護師さん:「そうなんですか。全然知りませんでした。 何も言わない患者さんでも、幻覚があるかも知れないということなんですね」

井上先生:「その通りです。 看護記録で「幻覚なし」という記載を見かけますが、実際に患者さんに詳しく聞くとありありとした幻覚を認めていることがしばしばあります。したがって、医療スタッフが幻覚の有無についてしっかり確認することが大切です」

次のページは「せん妄の幻覚の有無を上手に聞きだすには?」です。

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