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【連載】これで対応に困らない! せん妄の基本

第4回 低活動型せん妄とは?―せん妄のサブタイプ―

執筆 井上 真一郎(いのうえ しんいちろう)

岡山大学病院精神科神経科 助教

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大きな手術後やがんの終末期などに極めて高頻度にみられる「せん妄」。せん妄は、注意力や意識が低下することで患者さんが転倒・転落したり、幻覚が見えて暴れたりと治療を大きく阻害するものです。特に低活動型のせん妄は見落としがち。本連載ではそんなせん妄へのアプローチ法をやさしく解説します。


今春から外科病棟に配属された看護師のAさん。 担当患者さんが手術後にせん妄を発症してしまい、日夜悪戦苦闘・・・。これを機に、せん妄について体系的に勉強したいと考えています。

せん妄には種類がある

看護師さん:「今回のテーマは、『低活動型せん妄』ですね。 実は私、この低活動型せん妄について、ほとんど知識がないんです。。。」

井上先生:「医療スタッフでも低活動型せん妄をよく知らない方は多いので、これを機にしっかり勉強しましょう。

低活動型せん妄は従来から提唱されていたのですが、2013年に改訂されたDSM-5(アメリカ精神医学会)による診断基準に初登場し、ようやく日の目をみることになりました」

看護師さん:「では、最近のトピックスなのですね」

井上先生:「その通りです。DSM-5では、せん妄の診断基準に該当する場合には、同時にせん妄のサブタイプを特定するように求めています」

看護師さん:「サブタイプ、ですか」

井上先生:「いわゆる『亜型』のことですね。せん妄には、『過活動型せん妄』、『低活動型せん妄』、『混合型せん妄』の3つのサブタイプがあるので、ぜひ覚えておきましょう。

せん妄と聞いて、多くの方は過活動型せん妄をイメージすると思います。とても混乱が強く、点滴を引き抜いたり、徘徊がみられたりといった不穏や問題行動が目立つせん妄です」

看護師さん:「せん妄といえばまさにそのイメージです。看護師が対応に困るせん妄ですよね」

井上先生:「そうですね。医療スタッフの疲弊を招いたり、事故や自殺につながったりと、多くのデメリットがあります。

一方、無関心、不活発、動作緩慢のような症状を呈する低活動型せん妄は、医療スタッフから見逃されることの多いタイプのせん妄です」

看護師さん:「過活動型せん妄とはまるで逆の症状ですね。私もこれまで気づいていなかったように思います」

次のページは「低活動型せん妄は見分けにくいのに、頻度が高い!」

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