【連載】知っておきたい!ナースのための母乳育児&支援

第4回 授乳中の不安・母乳育児ができない不安にお答えします!①服薬は中止すべき?

執筆 水野 克己(みずの かつみ)

昭和大学江東豊洲病院小児内科 教授 同病院こどもセンター センター長。国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)

本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。


薬はのんでもいいの?

母乳は新生児~乳児にとって最良の栄養です。

授乳中の母親は薬を処方されても、授乳を控えるように言われると、言われた通りに授乳を控えて人工乳を哺乳ビンで与えるか、逆に薬をのまずに授乳を続けることもあります。

医療者が医薬品添付文書に従って薬の説明を行うことはごく普通のことです。さらには処方薬局でも添付文書に従った説明書を渡されます。

添付文書では、「授乳婦への投与」に記載のある薬剤の中で、「投与中は授乳を中止させる」と「授乳を避けさせる」が大半を占めます。つまり、授乳中の母親が自分の病気を治したり、症状を楽にすることは一時的にせよ“人工乳を哺乳ビンで与える”ことを意味することになるのです。

医薬品添付文書では、“人工乳と母乳は同等”という前提に基づいているため、例えラットの乳汁中にごくわずかでも薬が移行するならば、母乳よりも人工乳を与えるほうが児の健康上望ましいという判断になるのです。

ここにはいくつか疑問点がありますね。

母乳は人工乳と同等ではない

まず、母乳は人工乳と同等ではありません。「粉ミルクをあげてください」と簡単に言いますが、数カ月母親の乳房から直接哺乳していた児は哺乳ビンから哺乳することを拒否します。母親は具合の悪い中、慣れない調乳をして、その挙句泣いて嫌がる児に“お願いだから我慢して”と泣きたくなる思いで授乳するのです。

このようにやっとの思いで人工乳をあげたのに、実は人の母乳にはほとんど移行しないなんてこともあります。薬の乳汁移行はラットとヒトでは異なるのです。

授乳婦の薬の服用についての説明図

実際に授乳中の母親が服用した後の母乳中の薬の濃度がわかっているものも少なくありませんし、実際に薬をのみながら授乳して、児に何ら影響はなかった、もしくは、児の血中濃度は測定感度以下であったというデータもたくさんあります。

私たちは、本当に母親が二者択一しなければならないのか、母親自身が判断できるように、わかりやすく薬に関する情報を母親に提供することが必要になります。

江東豊洲 子育て&母乳育児を支援する会(KOTOCLO)」 KOTOCLO(Koto Toyosu Childcare & Lactation Organization)は、「子育て中の母親が笑顔でわが子と向き合える社会の実現」を目指し、①両親への適切な情報提供 、②医療従事者への啓蒙活動 、③子育て・母乳育児を支援する社会の仕組みづくりを3つの柱として活動する団体です。 〒135-8577 東京都 江東区 豊洲 5-1-38 昭和大学江東豊洲病院9階総合医局内    お問い合わせ:http://www.kotoclo.com


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