【連載】山内先生の公開カンファランス

第22回 心窩部痛を訴える患者さん(その2)

解説 山内 豊明

名古屋大学大学院医学系研究科 教授 医学博士/看護学博士/医師/看護師/保健師/米国・登録看護師、診療看護師


今回の事例
[りーさんより提供された事例]

冠動脈バイパス術後のリハビリ期の患者さん。術後創痛があり、ロキソニンを頓用内服していました。ある日、「お腹が痛い、痛み止めがほしい」との訴えがありました。

→この患者さんに起こっていることは?


まずは、上記のような状況のとき、疑わしいと思われる疾患を挙げてもらいました。
みなさんの回答は、前回記事をご覧ください。

心窩部痛を訴える患者さん(その1)

今回は、事例のつづきを読んで、前回(心窩部痛を訴える患者さん(その1))で挙げてもらった疑わしいと思われる疾患の中で、除外できるものはどれか、またそう考えた理由を聞きました。回答者数は96人。


事例つづき
[りーさんより提供された事例]
患者さんの血圧、体温、腸蠕動、腹壁状態、心電図、排便状況、その他の症状確認を確認しました。結果は、血圧変化なし、体温37度前半、腸蠕動良好、腹壁 筋性防御なし、心窩部軽度圧痛あり、心電図変化なし、排便 2、3日に1回あり、黒色便なし、悪心・嘔吐なし、胸痛なし、という状態でした。


山内先生の解説を先に読みたい方はこちら
山内先生の解説


みなさんの回答

事例つづきを読んで除外できるものは? また、そう考えた理由は?

●心筋梗塞
→心電図変化なし。(いもさん)

●腸蠕動低下、便秘、出血、腹膜炎、ガス貯留
→黒色便なし、腸蠕動良好、2〜3日に一回排便あり。(VVVさん)

●ロキソニンによる副作用なので、除外できるものはありません。(CITYさん)
NSAIDsによる胃十二指腸潰瘍、バイパス縫合不全もしくは内部感染症(angelさん)

●腸閉塞 消化管出血
→腸蠕動 良好 血圧変化なし、悪心嘔吐なし、黒色便なしとあるため。(まるさん)

●急性腎不全(かなさん)

●消化管出血、肺塞栓
→肺塞栓なら、呼吸状態がもっと悪くなる。消化管出血なら、食事量がもっと減る。(おおにっちゃんさん)

●心臓術後合併症が除外
→リハビリ期であり、心電図などは問題なし。術後に生じやすい、体温上昇や便秘があり、心窩部痛は消化器からかと思われる。(匿名さん)

●腹膜炎・胃潰瘍
→腸ぜん動、排便状態問題なく黒色便もなく悪心嘔吐もないことから。(ももさん)

●創離開、感染、消化管潰瘍
→高熱なし。黒色便なし。(いちごさん)

●術後イレウス
→腹壁軟、腹部症状ないため。(あんさん)

●腸閉塞、心筋梗塞、術後出血
→腸閉塞は蠕動音があり、筋性防御がないため。心筋梗塞は、心電図でST変化がないため。ただ、CKーMBなどの採血のデータは必要と思われます。術後出血は、血圧の低下がないため。ただ、極少量の出血がある可能性はあるため、CTは必要と思われます。(Mさん)

●全部消える
→術後合併症と鎮痛剤による消化性潰瘍は事例の続きの情報により消えた。腸蠕動や便通あり、悪心嘔吐なしでイレウス、筋性防御は腹膜炎、消化性潰瘍は黒色便なし、胸痛なし心電図異常なしで心筋梗塞が除外・・。残る微熱と心窩部軽度圧痛は何を示唆するか。感染兆候?心窩部・・・術部の問題?(マヨネーズさん)

●イレウス、縫合不全
→腸蠕動音の聴取と排便があり、悪心嘔吐がなかったため。高熱が続いていないことと疼痛部位が創部でないため。(のりたまさん)

●肺塞栓、急性心筋梗塞、腸管壊死、イレウス
→急性心筋梗塞なら心電図変化なしはあり得ない。肺塞栓なら胸痛はあると考えられる。腸管壊死なら筋性防御があるのが通常。イレウスなら腸蠕動音に何らかの異常がある。胃潰瘍と十二指腸潰瘍を除外しない理由は、黒色便、悪心嘔吐と言った症状は必発ではないから。(ルーテシアさん)

●虫垂炎 イレウス、便秘、消化管出血、婦人科疾患
→腹壁の筋性防御がないため虫垂炎はない。排便や腸蠕動に問題がないのでイレウスや便秘の可能性もない。黒色便ではないので消化管出血もない。しかし出血軽度の胃潰瘍は少し可能性があるかも知れず、削除しない。婦人科疾患は痛みの部位が上部なので違う。(デラックスさん)

次ページは山内先生の解説を紹介します。

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