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【連載】これで対応に困らない! せん妄の基本

第11回 せん妄はなぜ起こるの?④直接因子-薬剤性せん妄について

執筆 井上 真一郎(いのうえ しんいちろう)

岡山大学病院精神科神経科 助教

大きな手術後やがんの終末期などに極めて高頻度にみられる「せん妄」。せん妄は、注意力や意識が低下することで患者さんが転倒・転落したり、幻覚が見えて暴れたりと治療を大きく阻害するものです。特に低活動型のせん妄は見落としがち。本連載ではそんなせん妄へのアプローチ法をやさしく解説します。


今春から外科病棟に配属された看護師のAさん。 担当患者さんが手術後にせん妄を発症してしまい、日夜悪戦苦闘・・・。これを機に、せん妄について体系的に勉強したいと考えています。

2つめの直接因子とは?

看護師さん:前回の講義では、直接因子のうち、身体疾患について勉強しました」

井上先生:「今回は直接因子の2つめ、薬剤についてです。 せん妄の直接因子となる薬剤については、表1のようなものがあります」

表1 せん妄の原因となる薬剤

せん妄の原因となる薬剤

井上先生:「抗コリン作用はせん妄を引き起こすことがよく知られています。 この表では最初に抗コリン薬を挙げていますが、多くの抗うつ薬がせん妄の原因となるのも、実はこの抗コリン作用によるものです」

看護師さん:「『抗コリン作用はせん妄を引き起こす』と覚えておきます」

井上先生:「そうですね。 ほかにも、抗コリン作用を有する薬剤として、アタラックスPがあります。」

看護師さん:「本当ですか?うちの病棟では、せん妄患者によくアタラックスPが使われています」

井上先生:「そのような病院は多いと聞きます。 薬物療法についての回でも触れますが、特にアタラックスPの単剤投与はせん妄を惹起するリスクが高いということを知っておいて下さい」

看護師さん:「わかりました。ほかに、よく使われる薬の中で注意すべきものはありますか?」

井上先生:「H2ブロッカーは臨床現場でよく用いられますが、せん妄を惹起しやすいことが知られています。『ガスターせん妄』という言われ方をすることもありますが、知っていますか?」

看護師さん:「全然知りませんでした。ふだんよく使っている薬剤でもせん妄を起こす可能性があるのですね。今後気をつけるようにします」

次のページは「一番注意するべきは睡眠薬」です。

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