【連載】伊藤麻紀先生の『ストーマケアはじめの一歩』

第1回 ストーマとはーストーマリハビリテーションの考え方

執筆 伊藤 麻紀(いとう まき)

日本赤十字社医療センター 循環器・泌尿器科病棟/皮膚・排泄ケア認定看護師

消化器疾患や泌尿器疾患のためにストーマを造設された患者さんは、造設により自身のボディイメージが変容することから、不安やショックを受ける方が少なくありません。

本連載では、ストーマについての基礎知識とともに、ストーマの造設を受ける患者さんとその家族に対し、看護師が身体的・心理的・社会的な側面から行なうケアについて解説します。なお、ここでは、成人のストーマケアにのみ述べていきます。

【ストーマのまとめ記事】
ストーマとは?ストーマの看護について


『ストーマ』とは?

 ストーマ(stoma)とは、『消化管や尿路を人為的に体外に誘導して造設した開放口のことをいい、前者を消化管ストーマ、後者を尿路ストーマ』といいます1)。広義には、腎瘻や膀胱瘻、胃瘻、その他の瘻孔も含まれます(ここでは、ストーマ装具を使用するケアを中心に解説していきます)。

 以前は、『人工肛門』『人工膀胱』と呼ばれていましたが、現在では「ストーマ」と呼ぶのが一般的です。

 肛門や膀胱を切除する場合や便を肛門側に流したくない場合に、(大腸や小腸を摘出する必要があるなど、なんらかの理由により肛門から排便できなくなった場合に)ストーマを造設します(図1)。

S状結腸単孔式ストーマ実際の写真
図1 S状結腸単孔式ストーマ

 ストーマには括約筋がないため、排便や排尿を自分の意思で排泄することができません。そのため、(蠕動運動で送られてきた)排泄物(便)は絶えずストーマから排泄されるため、それらをためるストーマ装具(パウチ)を使う必要があります。

ストーマ造設された患者さん=『オストメイト』について

 ストーマを持つ方を『ストーマ保有者』や『オストメイト(ostomate)』といいます。

 ストーマ造設を受けた患者さんは、排泄経路の変更を伴い、ガスや便・尿が失禁状態となるため、装具等を使用したこれまでとは異なる排泄方法を獲得しなければなりません。

 それにより、対人関係、ボティイメージ、日常生活に影響を及ぼし、社会生活を送るうえで、周手術期だけでなく、長期にわたり、支援が必要となります。

ストーマリハビリテーション

 ストーマリハビリテーションとは、『ストーマと合併症の障害を克服して自立するだけでなく、ストーマ保有者の心身および社会生活の機能を回復させること、また、それを促進する技術と方法』と定義されています2)

 つまり、ストーマ造設後に局所のケアが自立だけでなく、手術によって発生する様々な障害を克服し、患者さんそれぞれがその人らしく社会生活を送るための長期的支援であるといえます。

 ストーマリハビリテーションは、術前の告知をされた時から始まります。ストーマ造設によって受ける障害は造設部位や種類によって予測することができます。そのため、術前からセルフケアの方法や術後の日常生活など専門的な情報を提供することで、ストーマを持った生活をイメージすることができ、納得した上で手術に臨むことができます。

 術後はセルフケアの確立を目標とし、局所のケア方法の獲得と同時に、年齢や発達段階、生活(就学・就業、生活習慣など)を考慮した個別的な教育・指導を行っていきます。

 しかし、在院日数短縮により、術後数日から局所ケアの指導が始まり、セルフケアが確立しないまま退院や転院を余儀なくされる、心理的サポートが不十分となり不安を抱えて退院・転院する、などストーマリハビリテーション全体に影響を及ぼしています。

 特に、高齢の患者さんの場合、入院中にセルフケアの確立が難しく、退院後も訪問看護などの社会的資源を活用し、長期間かけて支援をしていく必要も出てきています。

 以上のように、ストーマリハビリテーションは、ストーマ保有者が社会的自立し、QOLを向上させるために必要な術前から開始される身体的・心理的・社会的な長期支援であり、多様な職種により、多様な場面で展開される個別性の高いケアとなります。

文献

1.日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会:ストーマ・排泄リハビリテーション用語集(第3版).p31,金原出版,2010.
2.日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会:ストーマ・排泄リハビリテーション用語集(第3版).p34,金原出版,2010.
3.松原康美編:ストーマケア実践ガイド~術前から始める継続看護.学研メディカル秀潤社,2013.
4.ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション 実践と理論,金原出版,2006.

ページトップへ