お気に入りに登録

【連載】看護学原論に立ち戻って考える!KOMIケアで学ぶ看護の観察と看護記録

第8回 看護にとって「病気」とは? ―看護のものさし⑤持てる力・健康な力を活用し、高める援助

執筆 金井 一薫(かない ひとえ)

NPO法人ナイチンゲールKOMIケア学会 理事長 東京有明医療大学 名誉教授

Np 219858kanai pic1

Np 219858 pic0

そもそも「看護」って何だろう?何をすれば看護といえるのだろう?本連載では、看護とはどのようなことであり、どのような視点で患者を観察し、また記録するのかについて、ナイチンゲールに学びながら解説します。


さて、これまでの看護のものさしシリーズでは
①生命の維持過程(回復過程)を促進する援助
②生命体に害となる条件・状況を作らない援助
③生命力の消耗を最小にする援助
④生命力の幅を広げる援助
についてお話してきました。

今回は、最後の5番目となる「⑤持てる力・健康な力を活用し、高める援助」を解説していきます。

「ものさし」全体を理解し、「看護実践のあり方」の基本ついて考えていくにあたっては、まず身近にある「草花の生命の育て方」をイメージしてみるとよいでしょう。きっと見えてくることが多いはずです。

生命が求める条件を整えると、種子は実を結ぶ

一粒の種は完成された生命体です。種子の生命を直接見たり、触れたりすることはできませんが、そこには確実に生命が宿っていることを私たちは知っています。その種子を陽当たりの良い場所を選んで土の中に埋め、毎日優しい気持ちで水をやっていると、そのうちに芽が出てきて、双葉が開き、茎が伸びてきます。

さらに水を絶やさず、肥料を加えたり、雑草を取り除いたりしながら時の流れを待つと、ある時、つぼみをつけます。そのうちに素敵な美しい花が咲き、実を結びます。これが生命の生きた姿であり、「生命の法則」といえます。

このときに行った草花へのケアが、これまでに述べた「看護のものさし」に則っているということに気づかれたでしょうか? 草花を育てるには、基本的にそれぞれの種子に宿る生命の力、すなわち「持てる力」をまず信じることから始めます。そしてその生命力に力を貸していくという行為が、すなわちケアになるのです。このように草花を育てるための力の貸し方は実に分かりやすいと思います。

次ページは:"「持てる力」を見極め、生命力に力を貸す看護"とは何でしょうか?