【連載】知っておきたい!ナースのための母乳育児&支援

第5回 授乳中の不安・母乳育児ができない不安にお答えします!②かぜをひいたら母乳はあげられないの?

執筆 水野 克己(みずの かつみ)

昭和大学江東豊洲病院小児内科 教授 同病院こどもセンター センター長。国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)

本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。


かぜをひいても授乳していいの?

感染症にしても、くすりにしても、授乳中だからといってだめなものはほとんどありません。前回、授乳中の女性も必要ならくすりを使うことに必要以上にがまんしないようにという話を書きました。感染症に対しても基本はおなじです。

注意を要する感染症だけを覚えておく

母乳を介して感染する代表的なウイルスにはHIV、HTLV-1、サイトメガロウイルスがあります。

母乳を介してB群溶連菌(GBS)が感染することもありますが、妊娠後期の培養検査で母親がGBSを保菌しているからといって母乳をあげられないことはありません(そんなことをしたら多くの女性が母乳育児ができなくなってしまいます)。

乳房に病変がある場合としては、単純ヘルペス、帯状疱疹、梅毒がありますが、稀ですね。

それ以外はコモンセンス(常識)で対応できます。つまり、エボラ出血熱ウイルスやデング熱ウイルスなどを除けば、咳があったり、下痢をしていても授乳できるということです。

感染しても大人では無症状のこと(不顕性感染)もあり、また発症時には赤ちゃんへの感染はすでに成立していることが多いのでお母さんの診断がついてから母乳を控えるように伝えることには意味がないことをご理解いただけるでしょう。

  1. かぜのウイルスに対する特異抗体:母乳中に分泌
  2. 授乳行為以外からもうつる:鼻汁・咳などかぜ症状があるヒトが児に接するときは、手洗い・マスクをしてもらう

母乳にはインフルエンザウイルス、RSウイルス、ロタウイルスなど一般的なかぜ症候群、胃腸炎のウイルスは移行しません。

もし、お母さんがインフルエンザにかかったとしても、インフルエンザウイルスのいない母乳を与えることには問題はありません。

注意を要する感染症についての説明イラスト

インフルエンザの薬には飲み薬であるタミフル®と吸入薬であるリレンザ®、イナビル®があります。

タミフル®はお母さんが飲んだあとでも母体血中濃度が非常に低いため、母乳を介して赤ちゃんが摂取するとしてもごくわずかです。リレンザ®、イナビル®は吸入薬であり、体内に吸収される量が少なく母乳にはほとんど移行しません。

江東豊洲 子育て&母乳育児を支援する会(KOTOCLO)」 KOTOCLO(Koto Toyosu Childcare & Lactation Organization)は、「子育て中の母親が笑顔でわが子と向き合える社会の実現」を目指し、①両親への適切な情報提供 、②医療従事者への啓蒙活動 、③子育て・母乳育児を支援する社会の仕組みづくりを3つの柱として活動する団体です。 〒135-8577 東京都 江東区 豊洲 5-1-38 昭和大学江東豊洲病院9階総合医局内    お問い合わせ:http://www.kotoclo.com


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