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【連載】Dr.パクのドタバタ離島医療奮闘記

第11回 島ナースというエキスパート―看護師が地域で医師や患者を支え、育てること

執筆 朴 大昊(ぱく てほ)

鳥取大学医学部地域医療学講座 助教

Np drpaku pic

看護師は夜勤のラウンドや訪問看護など、患者さんの健康状態を確認する機会が多くありますが、患者状態を適切に判断するためには、プライマリ・ケアの技術が大いに役立ちます。

本連載では、拠点病院などによる後方支援を期待できない土地で、医療・検査機器などもない患者宅で医療を提供する「へき地医療」を通じ、“究極のプライマリ・ケア”と地域医療の実際を解説します。


“島ナース”って?

最近、『総合診療医』や『家庭医』という言葉を様々な場面で目にすることがあるかもしれません。地域で診療する医療者は、現場に行ってみて適当にやればなんとかなるのではなく、きちんとトレーニングする必要があり、質の高さが求められるようになってきたことが背景にあります。

僻地には僻地の、プライマリ・ケアにはプライマリ・ケアの専門性があるのだということです。

それは医者だけではありません、看護師も同じですが、みなさんは『島ナース』という仕事をご存じでしょうか?

島の看護師というと某ドラマの影響か、医師も看護師も島に慣れない新人で、一緒にわけわからない島の医療に奮闘しながら、恋に落ちるというイメージを持つ人もいるようですが、医学的にも危険過ぎますし、そもそも波照間島のナースは既婚者でした。

島ナースに求められる能力を言語化するのは難しいのですが、島の看護は、“広く浅い”というのは一面的な評価でしかありません。島の文化や患者の背景には非常に深く関わっていかなければなりません。むしろ島ナースの一番の専門性は医師のできない“地域や患者さんとの関わり方”にあります(表1)。

最近では島ナース(島嶼看護)の専門性の高さや特殊性から、その養成の必要が叫ばれるようになり、沖縄県立看護大学院では島ナースの実践指導者養成も行われています1)

表1 私の考える島の看護師に求められる能力

項目 具体例
コミュニケーション 患者個人、家族、島という地域と付き合っていく能力、背景を把握し文脈を読みよる力
医学看護学的能力 薬剤師業務 感染管理や薬剤指導などから、急患対応、トリアージを含めた医学看護学能力の維持、向上
介護福祉行政の知識、技術 他職種とのやりとり、リソースの把握、情報のアップデートなど
レジリエンス 身体的精神的に耐える力、様々な経験を糧にしていく力
プロフェッショナリズム 島唯一の看護師としての責任、自身の体調管理も含めて
地域をみる力 地域診断、地域の“空気を読む”力、地域のリソース、問題点の把握、活用

離島でも医師を支えるのは、やはり看護師

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