お気に入りに登録

【連載】医療安全管理室と現場、相互の高い意識が 患者さん・医療者の安全を守る

第3回 患者さんの不安軽減には常に慎重に対応

取材 餅田 佳美(もちだ よしみ)

東大阪市立総合病院 医療安全管理室 室長

取材 武藤 千穂(むとう ちほ)

東大阪市立総合病院 看護局 副看護師長

医療の質や安全性に対する社会的関心はますます高まり、医療安全対策は今や医療現場での最重要課題の一つとなっています。

中でも、院内の安全管理を牽引する担当部署と現場を支える多職種の関係性は、その対策の徹底を大きく左右するといっても過言ではありません。

今回は、安全対策製品の導入によって、医療安全に対する意識をより高めた成功例として、東大阪市立総合病院での取り組みを紹介します。


長期的なかかわりが少ない検査室。だからこそ患者さんの不安軽減には常に慎重に対応

フィックスキット・PVを導入したもう一つの部署、放射線科では日々、医療被曝や血液・抗がん剤の曝露予防など医療安全に努めています。

中でも検査時に起こる造影剤の血管外漏出を予防するには固定の方法が重要です。

「これまでは検査中の事故抜針予防を目的とした固定を意識して、刺入部の上から普通にテープを貼っていました。そのために刺入部に負担がかかり、針が血管壁を傷つけたのも造影剤の血管外漏出の一因ではないかと考えていました」と、副看護師長の武藤千穂さんは説明します。

この原因を改善したいと思っていたとき、餅田さんから渡されたのがフィックスキット・PVでした。

「それまでの製品では立体的に貼ることは難しかったのですが、このキットなら羽根の部分を浮かせて貼ることができるので、刺入部の負担が軽減できると思いました。手の甲に固定する場合にも大きすぎず、ちょうどよいサイズ感で扱いやすいですね」

造影剤の血管外漏出の原因には、体位や体動、血管壁の脆さなど、患者さん側の要因も考えられます。固定方法を変えたからといって、造影剤の血管外漏出がなくなるわけではありませんが、スタッフの固定に対する意識が高まり、フィックスキット・PV導入前まで年間12例は発生していた造影剤の血管外漏出が、現時点で発生していないのだといいます。

また武藤さんは、患者さんからの反応として、次のようなエピソードを語ってくれました。

「フィックスキット・PVの形状が、患者さんにはウサギやミッキーに見えるらしく、この形に癒やされている方もいるようです。安全性や衛生面ばかり考えている私たちには気づかないことですよね。患者さんの不安軽減は放射線科の看護師の大切な役割ですが、その点でこうした大人も楽しめる医療安全対策製品があってもよいのかなと思います」

検査に来る患者さんとのかかわりが一瞬であるだけに、いかに不安を軽減し、不利益のない看護サービスを提供できるか、事故防止や感染対策には常に神経を使い、スタッフ教育を行っているという武藤さん。

疑問に思うことをわからないままにせず、すぐに連絡、報告、相談ができる風土にしたいと働きかけています。

こうした医療安全管理室、そして現場での努力が同院の医療安全を支えていました。

救急外来&放射線科のスタッフナースにアンケート フィックスキット・PV導入で 私はこう思った!

固定がしっかりできているのに剥がしやすく、皮膚が脆弱な高齢患者さんのスキン-テアが減少した。

フィルムに切り込みが入っているので的を絞って貼りやすいし、血管を押しつけることなく挿入角度のまま立体的に固定することができるようになった。

緊急時のルートキープの際、一人でもルートを保持しながら片手で固定操作が行える。

操作がスムーズで時間短縮ができ、患者さんも気に入っている。

個別のパッキングなので衛生的だし、見た目にも白で統一されていて清潔感がある。

長時間や数日にわたって貼付した場合はどうなのか気になる。部署の特性上、皮膚の状態、圧迫痕の有無などを長期的に評価できないのが残念。

東大阪市立総合病院
「私たちはあなたのために最善を尽くします」を病院理念に、患者さんの利益と自律性を尊重し、公正な医療の提供を目指す、診療科数25科の公立病院。東大阪市・中河内地域における地域医療連携の中核を担うとともに、積極的ながん治療・がん支援に取り組んでいる。
〒578-8588 大阪府東大阪市西岩田3-4-5
■開設/1958年11月(1998年5月1日に現在の病院名に名称変更)
■病床数/547床(うちNICU6床、ICU4床、無菌病室2床)
■職員数/892人(2015年4月時点)

ページトップへ