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【連載】実践!エンゼルケア

第9回 エンゼルメイクの目的⑤家族の意向・希望・思いを考える

解説 小林光恵

エンゼルメイク研究会 代表

Mitue

Np kobayashi mitsue

患者さんがご臨終を迎え、本人の人格やその尊厳を失わないよう、ご遺体がケアする人の手を離れるまでケアを行なう「エンゼルケア(逝去時ケア)」。本連載ではそのエンゼルケアの実践法を解説します。


第5回でも、ご家族のご希望を尊重するお話をしましたが、コミュニケーションをしっかりとっていくと、ご家族はさまざまなご希望をおっしゃいます。

全体的に言えることは、ご家族は、亡くなったと頭ではわかっていても、生きているときと同様に、ご遺体に対して「痛くないか」「つらくないか」「寒くないか」「苦しくないか」などというように気遣う場合が多いです。

エンゼルケアの最終判断はご家族です

あるケースでは、ご主人をなくした奥様に身だしなみの整えについてお伺いをしましたところ「主人はいま心臓が止まっただけですから、いままでと全て一緒でいいです」とおっしゃいました。

多くのご家族は、ご遺体を生きているときと同様に気遣います。そして生前と同じ気持ちで見ることから生じる意向や希望が出てくるのです。

たとえば、こんなケースもありました。

  1. 「寒そうだから冷却はしたくない」と希望されたので、腐敗を抑えるために重要だとご説明をしましたが、それでも拒否なさり、冷却はやめました。
  2. 「死者らしくしたくない」との希望で、手を組ませるなどの慣わしはやめました。 など

ご家族からはさまざまなご希望を寄せられますが、このように最終判断はご家族と考えましょう

生前ケアの判断の仕方とは違い、ご家族がやらなくていいという気持ちを尊重するのもエンゼルケアの考え方です。

ご家族とのコミュニケーションが大事なエンゼルケア

金額面のトラブルもないともいえません。

エンゼルケアの請求名は『死後処置料』ですが、“事前に説明されていないから払わない”というケースもありました。

ご家族とのコミュニケーションが大事と考えるエンゼルケア研究会では、ご家族の方々には必ず同室に同席していただきことをおすすめしています。そしてケアについて説明・相談し許可・了承を得ながらエンゼルケアを進めていきます。

ご家族とのトラブルや行き違いを防ぐため、またさまざまなご希望を引き出すためにもエンゼルケアを進めるにあたっては、コミュニケーションがとても大事なのです。

次回は「エンゼルメイクの目的⑥エンゼルメイクは看取りの手段になる」について解説します。