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【連載】泣いて笑って訪問看護

第17回 『女優になりなさい』―職業人としての心構え

執筆 川上 加奈子(かわかみ かなこ)

株式会社のものも よつば訪問看護リハビリステーション 看護主任

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医療の場が在宅へと比重が高まるものの、まだまだ知られていない訪問看護。ここでは訪問看護の実際について、エピソードを通じてご紹介します。


訪問看護師としての初めての壁

「女優になりなさい」

私が訪問看護師になったばかりの頃に言われた言葉である。

私は看護歴は長かったものの、始めはNICU(新生児未熟児集中治療室)、そしてその後は外来勤務のみであったため、成人の病棟勤務経験が皆無だった。そのため、入浴介助や更衣は学生の実習以来やったことのない状況。特に、在宅などで関節の拘縮した利用者様の寝たきりの状態での更衣は、訪問に入って初めてぶつかった壁であった。

「痛い痛い!ちょっとキツイ」

不慣れな自分はやはりやり方がぎこちなく、余裕がないため表情も固く汗だく。関節が固い方の寝たきりの更衣がこんなにも難しいなんてと頭が真っ白になった。

そこでとった私の行動はと言えば、自宅に戻り、旦那や子供を相手に何度も何度も更衣の練習をしたのである。 ここまでは良かった・・・。

しかし、バカ正直な自分は、利用者様のところに次に行った時、こんな発言をしたのである。

「先日は着替えに時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。私は病棟経験が少なくて慣れていなかったのでぎこちなかったですよね?すみません。あれから自宅に帰って家族を相手にして沢山練習してきたので、今日は少しでも上手くできたらなと思います。よろしくお願いいたします」

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