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【連載】泣いて笑って訪問看護

第19回 『もうほっといて下さい!』―利用者様の発言の真意を察する

執筆 川上 加奈子(かわかみ かなこ)

株式会社のものも よつば訪問看護リハビリステーション 看護主任

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医療の場が在宅へと比重が高まるものの、まだまだ知られていない訪問看護。ここでは訪問看護の実際について、エピソードを通じてご紹介します。


拒絶的な態度の利用者様

その利用者様とはかれこれ4年のお付き合いとなる。 ご主人には先立たれ、息子さんとの二人暮らし。 リウマチと人工肛門の管理でフォロー中。 昔はなんとか這うようにしてトイレまでも行けていたものの、徐々に動けなくなり、現在はベッド上で完全なる寝たきりに。

その方は、大体訪問に行くと不機嫌で怒っていることが多い。

「こんにちは〜。お身体の調子はいかがですか?」と声をかけてもあえて視線をそらし、無視されることもしばしば。バイタル測定をしようとしても「結構です!ほっといて下さい!」と拒否されることさえある。

そんな時は、「わかりました。じゃあ、他の準備だけしておきますね。」と伝え、黙々と他のケアの準備を始める。 あまりに拒否が強く、触らせて下さらない時は帰るしかなくなるが、やはり、人工肛門のパウチ交換はやらない訳には行かず、それはご本人様も分かっているためか、黙ってやらせて下さることが多い。 そして、黙々とケアを続けていく内に、ポツリ、ポツリと怒りの理由を話し始めて下さるのだ。

リウマチで手が思うように動かず、パウチから便を出したくても上手く出しきれず、手や布団を汚してしまう。 その手を洗うことさえできない悔しさ。 かといって定期的に便とガスを出さないとパウチがパンクして漏れてしまう恐怖。 喉が渇いていても、中々思うように蓋を開けられず、簡単には飲めない。 頑張ってやっと飲めたと思ったら今度は蓋がベッドの下に落ちてしまい、閉めるに閉めれず、困っていることも―。

オムツが濡れて気持ち悪いが、頻回に交換を頼むのも気がひけるからあまり尿が出ないように水分はとらないようにされていたり。 見えない所での悔しい想いは山程あると思われる。

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