【連載】知っておきたい!ナースのための母乳育児&支援

第7回 授乳中の不安・母乳育児ができない不安にお答えします!④搾乳と母乳の保存はどうしたら?

執筆 水野 克己(みずの かつみ)

昭和大学江東豊洲病院小児内科 教授 同病院こどもセンター センター長。国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)

本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。

母乳を搾る「搾乳」はどんな時にすべき?

「搾乳」は赤ちゃんがNICUに入院するなど、特別な場合だけ必要な行為と思われがちですが、決してそんなことはありません。

例を挙げましょう。

みなさんは非常食と水を備蓄していますね。

赤ちゃんにとっても冷凍庫に搾母乳があればとても助かることもあるでしょう(使用する機会がないほうがよいのですが)。

もし、使うことなく半年が過ぎようとしているのなら、離乳食を作るときに使ってあげるとよいでしょう。

搾った母乳を衛生的に扱うために知っておいてほしいこと

母乳は無菌ではありませんが、母乳に混在している細菌の多くは皮膚常在菌です。

病原性がないのであれば、細菌がいること自体は悪い訳ではありません。そうはいっても清潔に搾乳することは病原菌が母乳に混じらないようにするためにも大切なことです。

「搾乳」と「母乳の保存」でお母さんにお伝えしたいこと

  1. 母乳は無菌ではありません
  2. 母乳には無数の抗菌物質(細菌を殺してくれるもの)があり、搾った母乳の中でも細菌が増えないのです
  3. 搾乳する前に乳房を消毒する必要はありません
  4. お母さんの母乳を与えることにより、赤ちゃんに常在菌(ふつうにわたしたちの身体に住み着いている細菌)が着きやすくなります
  5. 乳頭・乳輪を消毒すると、乳頭にダメージを与えるかもしれません
  6. 搾乳するときに始めの数mLを捨てる利点はありません(それによって母乳中の細菌が減るという根拠はありません)

なによりも大切なことは、まず、しっかりと手洗いを行なうことです。爪の間、指の付け根、手首などは特に気を付けて洗うようにしましょう。

終了後、搾乳器を使用した場合は、パーツに分解して、それぞれ適切に消毒しましょう。

搾乳後の搾乳器の洗浄についてお母さんにお伝えしたいこと

  1. ポンプの部品のうち、母乳と接した部分は冷水でよく洗いましょう
  2. その後すべての部品を温かい石鹸水で洗ってよくすすぎます
  3. その後はミルトン®につけるか、哺乳びん用の消毒パックを使って電子レンジで滅菌しましょう。熱湯で消毒するのもよい方法です

母乳の保存方法(正期産の赤ちゃんにあたえる場合)

搾ったばかりの母乳は室温(26度以下)なら、4時間までならそのまま赤ちゃんにあげられます。

冷蔵庫にすぐにいれた搾母乳は5日以内なら、ひと肌程度にあたためて赤ちゃんに与えられます。

冷凍して凍結した母乳は、6カ月くらいは保存可能ですが、理想を言えば3カ月までにするとよいでしょう。
解凍後に温めたら1時間以内に赤ちゃんに与えてください。解凍後、冷蔵庫に保存するのであれば24時間までに使い切ってください。


「江東豊洲 子育て&母乳育児を支援する会(KOTOCLO)」

KOTOCLO(Koto Toyosu Childcare & Lactation Organization)は、「子育て中の母親が笑顔でわが子と向き合える社会の実現」を目指し、①両親への適切な情報提供 、②医療従事者への啓蒙活動 、③子育て・母乳育児を支援する社会の仕組みづくりを3つの柱として活動する団体です。
〒135-8577 東京都 江東区 豊洲 5-1-38 昭和大学江東豊洲病院9階総合医局内   
お問い合わせ:http://www.kotoclo.com


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