【連載】木澤晃代先生の『看護の特定行為ってなんですか?』

第2回 「特定行為」「特定行為区分」って何ですか?

執筆 木澤 晃代(きざわ あきよ)

日本看護協会看護研修学校 認定看護師教育課程 特定行為研修担当

平成27年10月1日に特定行為研修制度がはじまりました!

特定行為研修制度は、これからの超高齢化社会に向けて、チーム医療のキーパーソンとなる看護師を育成するために創設されました。制度については、厚生労働省のHPに詳細な情報が載せられていますが、制度の話だけではわかりにくく、実際に臨床現場でどのような変化が期待され、どのように活用できるのか、ピンと来ない部分、イメージしにくい部分があると思います。

「特定行為研修が始まったのは知ってるけど、自分には関係ないな~」という方から、「実は、自施設でも研修を始めることを考えている」、「特定行為研修に参加してみたいけど・・・」という方まで、とりあえず、研修の是非より、知っておいても損はないかも~という感じでご覧ください。

「特定行為」「特定行為区分」って?

看護師が行なう「特定行為」や「特定行為区分」とは具体的にどんなことでしょうか? 厚生労働省では、看護師が行なう「特定行為」と「特定行為区分」を以下のように定義しています。

  • 「特定行為」:診療の補助であって、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして以下の38行為であること。
  • 「特定行為区分」:特定行為の区分であって、別紙のとおり21区分であること。

特定行為区分分類表
特定行為区分分類表②

(厚生労働省HPより引用)


「特定行為」が38行為とされたことで、「これ以外はできないの?」ということがいわれています。診療の補助とされる「特定行為」については、星の数ほどある印象ですが、今回の制度において定義されている「特定行為」は38行為という解釈になるかと思います。

これは、「手順書に基づく特定行為」と言うことで、具体的指示であれば、今までどおり、直接的指示で実施して差し支えないということになっています。ますます「わかりにくい!!」ということになりそうですが・・・。
じゃ、誰でもやっていいんじゃない?と思われた方のために、補足です。

 
この制度では、「手順書に基づいて実施する看護師には、特定行為研修を受けることが義務」になっています。つまり、「特定行為研修を受けていない看護師が手順書に基づいて自らの判断で特定行為を実施すること」は、ルール違反になるということになります。

今現在、特定行為研修を受けずに実施している看護師に対しては、今後5年以内に、「特定行為研修」を受講することが移行措置として、勧められています。

現時点での特定行為は38行為になっていますが、これは、医療のニーズなどによって、審議会で追加したり、修正したりすることも考えられています。

「手順書」って?

特定行為を行なう時に使用される「手順書」とは、次のように定義されています。

  • 「手順書」:医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として作成する文書であって、看護師に診療の補助を行わせる『患者の病状の範囲』及び『診療の補助の内容』その他の事項が定められているもの。

手順書は、個々の患者の状態に応じてその都度作成するのではなく、あらかじめ各医療現場において、医師または歯科医師が、必要に応じて看護師などと連携しながら作成することを想定しています。


手順書の内容としては、
1. 当該手順書に係る対象となる患者
2. 看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲
3. 診療の補助の内容
4. 特定行為を行うときに確認すべき事項
5. 医療の安全を確保するために医師または歯科医師との連絡が必要になった場合の連絡体制
6. 特定行為を行った後の医師または、歯科医師への連絡方法

が、記載していることとされています(表1)。

表1 「直接動脈穿刺による採血」に係る手順書のイメージ

「直接動脈穿刺による採血」に係る手順書のイメージ表
(厚生労働省HPより引用)

手順書例については、全日本病院会で作成され、2016年1月に公開されました(「特定行為に係る手順書例集」はコチラ)。

この手順書では、医師が患者の特定を行うことから始まっていますので、医師の指示ということになります。

ただし、特定行為を行う看護師が、手順書に書かれている患者の範囲にあるかどうかは、患者の状態を適切に評価して実行するかしないかの判断をすることになります。

手順書は、具体的な数値などはあまり含まれていません。患者のバイタルサインなどの数値は、その患者の病状によって変化しますし、患者ごとの適正な数値は、看護師が判断することになります。具体的な数値が規定されるとなると、それは、包括的指示ではなく、具体的指示ということになるかと思います。

手順書の留意事項として、手順書の具体的な内容については、「①から⑥の手順書の記載事項に沿って、各医療現場において、必要に応じて看護師等と連携し、医師又は歯科医師があらかじめ作成する。 また、各医療現場の判断で、当該記載事項以外の事項及びその具体的内容を追加することもできる」とされています。

上記の「特定行為に係る手順書例集」に手順書の作成の経緯、活用の方法などが書かれてありますので、よくお読みいただくと理解できると思います。

次のページ:「特定行為研修」とは?

ページトップへ