【連載】ストーマケア 皮膚トラブル解決法

【ストーマケア】どう選ぶ? 患者さんに合った皮膚保護材

執筆 黒巣美津枝

JCHO千葉病院、皮膚・排泄ケア認定看護師

【目次】


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ストーマとは? ストーマケアについて


患者さんはどんな状態?

80歳代男性Bさん。直腸がんで腹会陰式直腸切断術を施行、左下腹部にS状結腸ストーマが造設されました。術後粘膜壊死を起こし、ストーマ孔は小指が入る程度に狭窄。便性は緩下剤にて軟便~泥状に調整されていました。他院より、「皮膚障害がある」と紹介され、当院のストーマ外来を受診されました。


原因はどこにある?

皮膚トラブルの発生部位はどこ?

 皮膚トラブルの発生部位を知ることで、原因がある程度予測できます。ストーマ近接部の皮膚トラブルの原因として、最も多いのは排泄物の付着によるものです。剥がした面板の裏側をみて、皮膚トラブルと一致する位置に排泄物が付着していないかを確認します。

 Bさんの場合、ストーマ近接部に紅斑とびらんがあり観察したところ、皮膚トラブルを含む範囲に便のもぐりこみが認められました。このことから、皮膚トラブルの原因は排泄物の接触であるとアセスメントできます。

面板の裏側に原因を見極めるヒントが!

 次に、なぜ排泄物が接触したのかを確認していく必要があります。ここでは皮膚保護材の膨潤、溶解状況から便のもぐりこみとの関連性を確認します。Bさんのストーマはフラットで、座位になるとストーマ周囲の腹壁は陥凹し、深いしわ(1時、3時、11時方向)がみられました。ストーマ装具は、膨潤タイプの凸面型装具(高さ3mm)に、しわを補正するために同じく膨潤タイプの用手成形皮膚保護材が併用されていました。膨潤タイプの皮膚保護材は、膨らむことで隙間を埋め、密着性を高めるという特徴があります。

 Bさんの場合、ストーマ径が小さく、スキンレベルのストーマであったため、ストーマ排泄口を覆ってしまうほど皮膚保護材が膨潤していました。このことから排泄物は出口をふさがれるような状態になってしまい、ストーマ袋へスムーズに移動できず面板の下にもぐりこんだと考えられます。

アセスメントのPOINT

 一般的に皮膚保護材は、水分を吸収すると溶解していく溶解型と、膨潤していく膨潤型があります。溶解型は膨潤型に比べ皮膚保護性に優れていますが、水分を含むと溶け崩れしやすいため、水分が多い排泄物の場合は短期間で皮膚保護機能がなくなってしまいます。膨潤型は耐水性にすぐれ、形が崩れにくく、膨らむことで隙間を埋めて密着を高めることが期待できます。そのため、水分の多い排泄物に適しています。

 これらを理解したうえで、排泄物の性状と皮膚保護材の特徴が適しているか確認します。実際に面板の裏側を見て、1日で10mmを超えるほど溶けていないか、面板を押し上げたり、ストーマの排泄口を塞ぐほど過剰に膨らみすぎがないか確認します。

 ほかに、指導内容通りに補正できたかもみるようにします。このとき、患者さんのセルフケア力(理解力や手の操作性)と、選択した皮膚保護材の形状や特徴が適しているのかも評価することが大切です。

原因に合ったケアを実施!

皮膚保護材を再選択

 ストーマ周囲の腹壁の陥凹としわの存在から、近接部の平面を得るためには皮膚保護材による補正が必要でした。そこで、下記3つのポイントを考慮し皮膚保護材の再選択を行いました。

1)ストーマ排泄口をふさがない溶解タイプとする
2)軟便、泥状便に対応できる耐久性がある
3)陥凹や深いしわになじみやすい形状と、ほどよい硬さである

 以上の点から、溶解タイプの用手成形皮膚保護材に変更することとし、中でもコットンファイバーが配合されていることで型崩れしにくい製品を選択しました。

びらんのケア

 皮膚トラブルを改善するためには、直接の原因である排泄物による汚染防止と、びらん部から出る滲出液のコントロールを行いながら、装具を安定して貼ることが必要です。滲出液を伴う場合は、湿潤により面板が密着しないため便がもぐりこむ可能性があります。Bさんには水分を吸水し、乾燥面をつくることのできる粉状皮膚保護材をびらん部に少量散布し、その後余分な粉を払い落としてから装具を貼りました。

膨潤と溶解状況で交換間隔を調整

 皮膚保護材の膨潤と溶解状況をみて、溶解範囲が8mm程度以内となるように、交換間隔を調整します。その際、メーカーが推奨する交換間隔より早い時期に交換する場合は、剥離刺激による新たな皮膚トラブルの可能性があるため、剥離剤を使用していきます。

 また、皮膚トラブルがある場合は、剥離剤に含まれるアルコールなどの化学物質が刺激になるため、非アルコール性のものを選択するようにします。Bさんのケースでも、皮膚保護材を見直すことで、便のもぐりこみがなくなり、安定した装具交換が可能となり、7日後には皮膚トラブルは改善しました(図4-2-4)。Bさんは皮膚トラブルが原因で外出を控えていましたが、安定した装具交換が可能となったことで買い物などに出かけられるようになり、QOLの向上につながりました。

患者さんにどう指導する?

目にみえる指導を

 口頭で伝えるだけでは、患者さんは指導内容を忘れてしまいがちです。毎回同じケアができるように写真入りのパンフレットを渡すと効果的です。また、長期的には、加齢や体重の増減などで、ストーマ周囲の腹壁に変化が起こります。そのため、Bさんにはストーマ外来への定期的な通院の必要性をお伝えしています。

皮膚保護材選択のPOINT

 ストーマや腹壁の状態にあわせ皮膚保護材を選択していきます。浅いしわやくぼみの補正には、軟らかく、ストーマと装具のすき間を埋めやすい練状皮膚保護材が適しています。ただし、アルコールが含有されている製品は刺激が強く、皮膚が脆弱な患者さんやすでに皮膚トラブルがある場合は使用を控えましょう。

 深いしわやくぼみの補正には固形、用手成形皮膚保護材が適しています。複雑な形状のしわの場合は、手でちぎって形を変えられる用手成形皮膚保護材が扱いやすいです。

 皮膚保護材は同じ材型でも、ポリマーの組成、配合によって耐久性が異なります。水様性の排泄物の場合は、皮膚保護材の溶解が早くなる傾向があるため、耐久性の比較的高いものを選択します。高さのないストーマに膨潤するタイプを選択すると、ストーマ排泄口を皮膚保護材が覆ってしまう場合もあるため注意が必要です。

(ナース専科マガジン2015年10月号より転載)

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