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【連載】看護に役立つ生理学

第36回 制酸薬はどこに作用する?

執筆 梵天ゆとり(ぼんてん・ゆとり)

医師、日本医学放射線学会会員

消化器の機能は、数ある臓器系の中でもイメージしやすい反面、それがどのようにして実現されているのか、考えを巡らせることが少ないかもしれません。今回は消化器の機能を支える構造に注目し、単なる「現象」ではなく「機構」として消化器の働きを捉えられるようになりましょう。


ヒスタミンの結合を妨げることで胃酸分泌を抑制する

ガストリンが壁細胞の塩酸分泌を促す過程は詳しく述べませんでしたが、ここを理解することで、消化性潰瘍の治療に用いられる制酸薬の機序を整理することができます(下図)。

ガストリンは壁細胞に直接作用する一方で、ある種類の別の細胞に作用し、その細胞がヒスタミンを放出します。

これが壁細胞のヒスタミン受容体に結合すると塩酸の放出が促されます。制酸薬のタイプのひとつである、いわゆる「H2ブロッカー」の「H2」はこの受容体(2型ヒスタミン受容体)の略称であり、ヒスタミンの結合を妨げることで胃酸分泌を抑制します。

また、塩酸の分泌の際には、壁細胞の細胞内から細胞外(管腔内)にH+(プロトン)を能動的に運び出す機構が働いています。

制酸薬のもうひとつのタイプである「プロトンポンプ阻害薬」は、その名のとおりこの機構を阻害して胃酸分泌の抑制を図っています。

胃酸分泌抑制説明図


(「ナース専科」マガジン2013年10月号から転載)

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