【連載】山内先生の公開カンファランス

第25回 腹痛で入院してきた患者さん

解説 山内 豊明

名古屋大学大学院医学系研究科 教授 医学博士/看護学博士/医師/看護師/保健師/米国・登録看護師、診療看護師


事例
[いもさんより提供された事例]
腹痛で入院してきた患者さん。急激な血圧低下や上昇はなく、下痢が続いていたため医師の診断は腸炎でした。

患者さんは、うつむき加減で顔をしかめ、座位で腹部全体をさすっていて、夜も眠れていないようでした。ペンタゾシンを使用して、しばらくは除痛できていたようですが、4時間ももちませんでした。ペンタゾシンは4時間を空けて使用可の予測指示が出ていました。明らかな筋性防御はなく、腸蠕動音は微弱でも亢進でもありませんでした。

疼痛を訴える部位は腹部全体で、顔色はやや青白くその痛がり方が腸炎にしては変だと感じていたので医師にこれまでの経験で腸炎の患者さんにペンタゾシンを使用しても、これ程までに効果が見られなかったことはないというようなことを伝え「痛がり方がおかしい」と訴え出ましたが聞き入れてもらえませんでした。

→こんなとき、あなたならどう対応する?


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みんなの回答

まずは、みなさんの回答を見ていきましょう。回答者は97人。

Q 事例のように医師に訴えを却下されたとき、あなたならどう対応しますか?

一旦引く

  • あきらめる。(ゆかさん)

  • カルテにそのことをありのままに書く。(リリさん)

  • 疼痛時の指示再確認し、それでも状態に変化がないときには再度報告するようにする。(もこさん)

  • 少し様子を見て、また連絡させていただきます、と伝える。(かずさん)

  • 医師に却下されたことも、すべてをカルテに書く。(はさん)

  • しっかりと離れずにバイタルサインを15分ごとに測定し、尿量もみて、すぐに変化があれば、報告をする。また、主治医にしっかりと伝えたことを記録に残しておく。(Mさん)

  • 指示通り4時間後にペンタゾシンを投与し、再度観察後報告する。(suzyさん)
  • 患者さんの様態を観察し、少しでも変化が見られたら再度診察依頼をする。(米米くらぶさん)

  • 腹痛が強いならばペンタゾシンを4時間ごとに使用し、温罨法、安楽な体位の調整をする。(まーちゃんさん)

  • いったん引き下がるが、5分後ぐらいにもう一度医師に患者さんがかなり痛がって我慢できない状態であることを訴える。(あまり自信ない(汗)さん)

他の人に相談する

  • 他の看護師に相談する。(桃さん)

  • 他のチームの医師や師長に相談をする。立場の上の方から言っていただく。(ももさん)

  • 別の医師に訴えます。上級医師がいるなら、そちらに言う。(タロさん)

  • 上司に相談し別の看護師から医師に上申する。あるいは、急ぐなら直接別の医師に診察を依頼する。(匿名さん)

  • 別のスタッフから再度アプローチする。(にいさん)

  • 主任や師長に相談する。たまに若い看護師だからという理由で、突き放されることがあるので上の看護師から言ってもらうのもひとつの方法。(りゃさん)

  • 一緒に働いている同僚の看護師と、うまく先生に採血の指示だけでも出してもらえないか話し合う。時間の許すかぎり、その患者さんのそばにいてタッチング、声かけを行う。適宜、バイタルサインの測定をする。(あきこさん)

食い下がる

  • それでも医師に診察を依頼する。(CITYさん)

  • 疑いのある疾患と、その根拠を伝える。(まるさん)

  • こんなに痛みがひどいのに、原因がわからないのでは患者さんは不安だしつらい状況なので精査をしてくださいとお願いする。(ななさん)

  • 「これ以上痛がるときはどうしたらいいですか。このままでは、患者さんが苦しいだけなので、ペンタゾシンと併用して大丈夫な薬はないか薬剤師に相談したりしませんか。何かあってからでは遅いので、追加で検査を入れてください、結果が出た時点で連絡します。その結果によって診察してください」という。(mさん)

  • アセスメントした内容を伝え、診察依頼をする。(ひとちんさん)

  • 別の指示を出すよう再度ねばる。(みじゅりんさん)

  • もっと具体的に先生に報告し、先生、どうでしょうか? と医師のプライドを折らないよう、食い下がります。(あらまっ!!さん)

  • 1.経過を追って観察し記録に残す。2.他のスタッフにも伝え、情報を共有する。3.1度見に来てくださいと医師に言う。(デラックスさん)

  • 「それなら、疼痛指示を出してください。出せないなら他の医師に頼みます。それでもいいですか? とりあえず看護師任せにしないで見に来てください」という。(ぱんさん)

事例のような状況で、医師に訴えが聞き入れてもらえなかったとき、経過観察するとしたら、どこに気を付けますか?

  • バイタルサイン、どのような痛み方か?、痛みの程度はどうか?、他に痛い部位は ないか?、吐気の有無?(まるさん)

  • バイタルサイン、意識レベル、腹痛の増強、冷汗の有無、筋性防御の有無(ももさん)

  • バイタルサインの変化、疼痛スケール、腹部状態(痛みの箇所に移動がないかなど(タロさん)

  • 痛み、全身症状(ゆかさん)

  • 体温、脈拍 血圧、意識レベル、腹部膨満、蠕動音末梢冷感やチアノーゼ、呼吸状態、呼吸回数、下痢の有無と性状、採血データ(Mさん)

  • 循環動態の変化、新しい症状の出現、バイタルサイン(意識状態を含む)(米米くらぶさん)

  • バイタルサイン、腹痛の部位や程度、下痢の状態、脱水症状、鎮痛薬の効果、随伴症状(デラックスさん)

  • 腸炎以外に出てくるであろう消化器症状(K.Dさん)

  • 特にショック症状、血圧、脈拍、冷汗、顔色、意識状態に気をつけます。引き続き腹痛、下痢などの腹部症状。新たに嘔吐症状がないか?(あまり自信ない(汗)さん)

  • 痛みのレベル、痛みは移動性か?痛みの他に伴う症状、バイタルサイン、インアウト、皮膚の状態、便性状、腹部の張り、ガス、脱水症状、尿色(小嶋 遥さん)

次ページからは、山内先生の解説を紹介します。

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