【連載】実践!エンゼルケア

第12回 エンゼルメイクの目的⑧コミュニケーションの充実に向けて

執筆 小林光恵

「エンゼルメイク研究会」「看護に美容ケアをいかす会」代表

患者さんがご臨終を迎え、本人の人格やその尊厳を失わないよう、ご遺体がケアする人の手を離れるまでケアを行なう「エンゼルケア(逝去時ケア)」。本連載ではそのエンゼルケアの実践法を解説します。


▼エンゼルケアについて、まとめて読むならコチラ
エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など


 エンゼルケアを行う上で、ご家族の方々とのコミュニケーションが大事ということをこれまでお話してきました。ご家族の方は死後変化のことは何も知りませんし、とくに臨終直後のことは全くイメージができていない場合が多いのです。

 ナースのみなさんから、死後の身体にどのような変化が起きる可能性があるかをご家族の方々へ理解できるようご説明します。その上で、ご家族の希望を伺います。

 エンゼルケアを行う時間は限られていますから、ご家族の方とのコミュニケーションは口頭だけではなく文書を活用して進めるのがおすすめです。

ご家族に説明文書を示し手渡す(イラストはイメージです)
ご家族に説明文書を示し手渡しているイラスト
続いて、ご家族に向けるエンゼルケア文書の活用方法を紹介します。

ご家族とのコミュニケーションは文書も活用して

 みなさんの勤務先で、エンゼルケアの文書(パンフレットなど)を作る場合は下記の項目をご参考にしていただければと思います。

ご家族向け文書に盛り込む項目案

 * ご挨拶
 * 死後に身体変化があるということ
 * おもな死後変化について
 * 肌の乾燥・脆弱化・蒼白化・死後硬直・出血・漏液・臭気・腹部膨満
(消化器系の疾患があった方→黄疸の肌色変化/循環器系の疾患があった方→顔のうっ血の可能性/乳幼児→強い乾燥傾向/耳鼻科、眼科の腫瘍への対応、などを入れる配慮)
 * 冷却の必要性について
 * 触れたり、メイクしたりしてもよいこと
 * ケアの立場として、どういう考えで身だしなみを整えたかの説明
 * 褥瘡のある方、リンパ浮腫のある方、など状態別に文書を作成
 * 葬儀社のサービスを受ける際のポイント
 * 各種届出について
 * 問い合わせ先
 など


【注意事項】
※ケアの領域によって、説明事項の重点の置き方が違ってくる
※あらかじめ各種項目をプリントしておき、個別に応じて丸をつけるなどして渡す方法もよい


 これらをパンフレットにしてお渡しすると、書いてあること以外のコミュニケーションがとれます。ご家族が不在の時に起きたいろいろなことやエピソード、亡くなる前におっしゃっていたこと、家族をおもんばかっていたことなどをお伝えする時間をとることにもつながります。

※そのまま使用できる文書の例は下記書籍にありますので、よろしければ参考になさってください。
『説明できるエンゼルケア』(医学書院)の付録「退院時文書」
『ナースのための決定版エンゼルケア』(学研メディカル秀潤社)の付録「家族向けパンフレット」

次回は「エンゼルケアの基本の流れ」について解説します。

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