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【連載】排泄ケアで困ったこと

温罨法や腹部マッサージは便秘に効果がある?

解説 丹波光子

杏林大学医学部付属病院 皮膚・排泄ケア認定看護師

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ナース専科コミュニティ会員にアンケートを実施し、排便や排尿にかかわることで実際に困っていることを集め、皮膚・排泄ケア認定看護師に解説してもらいました。


温罨法や腹部マッサージは便秘に効果がある?

温罨法により便通を促すことができるという報告がある

腹部への温罨法やマッサージといった排便を促すためのケアは、古くから経験的に行われていました。

しかし近年、それらの排便促進効果に関する研究が数多く行われ、現在では、ある程度の効果が期待できる方法として一定のエビデンスが得られているようです。

特に温罨法については、60℃程度の熱布や、蒸気を発生し40℃ほどを長時間維持するシートを用い、10分程度の短時間、あるいは温熱が持続するシートを数時間程度、腰背部または腹部にあて、その効果を比較検討している研究が数多くあります。

それらの結果から、効果に多少の違いや程度の差があるものの、いずれの方法でも腸音の亢進、排便回数の増加、便秘薬の服薬回数の減少などの効果があると考えられています。

作用機序としては、60℃程度の高温の場合、皮膚への温度刺激がまず交感神経を刺激し、貼用をやめると今度は副交感神経が亢進し、腸管の動きを促す可能性が指摘されています。

40度程度の低温の場合は、温かくて気持ちがよいという感覚が副交感神経を刺激し、腸の運動を促進するのではないかと考えられています。

排便を促進する目的で温罨法などのケアを行う場合は、患者さんの状態がその適応かどうかを十分に検討するとともに、腸の急性炎症、穿孔や閉塞、腸管出血などの禁忌事項がないことを確認しましょう。

またケアにあたっては、熱傷などの皮膚トラブルにも十分に注意する必要があります。

参考文献

西村かおる:排便にかかわる基礎知識.疾患・症状・治療処置別 排便アセスメント&ケアガイド.西村かおる,編.学研メディカル秀潤社,2009,p.28-43.
菱沼典子:排便・排ガスを促す温罨法.看護技術の科学と検証 第2版.菱沼典子,他編.日本看護協会出版会,2013,p.184-7.
道又元裕,監:ケアの根拠 第2版.日本看護協会出版会,2012,p.79-83.
菱沼典子,他:腰部温罨法の便秘の症状緩和への効果.日看技会誌 2010;9(3):4-10.
木下彩子,他:排便援助における温罨法の部位の検討 腰背部と腹部における比較.秋田大学院医研科保健紀 2013;21(2):87-96.
日本静脈経腸栄養学会,編:静脈経腸栄養ガイドライン 第3版.照林社,2013,p.25-7.

続いては、「下剤が効かない便秘の患者さん、どうする?」です。

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