【連載】看護に役立つ生理学

第39回 NSAIDsはどこに作用する?

執筆 梵天ゆとり(ぼんてん・ゆとり)

医師、日本医学放射線学会会員

今回は抗炎症薬の1つ、NSAIDsについて解説します。


NSAIDs は各種プロスタグランジンの合成を阻害する

 抗炎症薬の多くは、アラキドン酸カスケードの過程のどこかに作用して、ケミカルメディエータの産生を抑制し、その作用を発揮します。最も頻用される非ステロイド性抗炎症薬(以下NSAIDs)は、アラキドン酸からPGを合成する酵素にはまり込んで、本来の作用を阻害し、PG の産生を減少させます。

 このため、PG-E2 などによる炎症作用が抑制されるのです。この酵素は、PGが枝分かれする前の根元の部分で作用するために、これを阻害すると全てのタイプのPG産生に抑制が働いてしまいます。各々のPGは炎症時だけでなく、通常時においても全身の臓器において生理活性を発揮していますから、その機能障害としてNSAIDsの副作用が現れるおそれがあります。その代表が、有名な胃粘膜障害です。

 PG-E2 を含むいくつかの種類のPGは、胃の血流や粘液分泌を制御することによって胃粘膜を保護していると考えられています。

COX-1とCOX-2

 NSAIDs の作用点となる酵素はシクロオキシゲナーゼ(以下COX)と呼ばれ、この酵素には少なくとも2つのタイプがあることが知られており、COX-1・COX-2と呼んで区別します。いずれもPG群の産生にかかわりますが、COX-1が通常時からほとんどの細胞で発現しているのに対し、COX-2は炎症の発生時にさまざまな刺激をきっかけとして誘導される酵素である、という違いがあります。

 これを考慮すると、副作用を抑えつつ抗炎症作用を発揮させるためには、できるだけCOX-2を選択的に阻害するほうが好都合です。NSAIDsには数多くの種類があり、いずれもCOXを阻害するという点では共通していますが、この選択性の程度はさまざまです。また現在ではCOX-2選択性を目標として開発されたものも用いられています。

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