【連載】看護に役立つ生理学

第40回 ステロイドはどこに作用する?

執筆 梵天ゆとり(ぼんてん・ゆとり)

医師、日本医学放射線学会会員

今回はステロイドについて解説します。


ステロイドは遺伝子の発現レベルで影響与える

 では、強力な抗炎症作用を有する副腎皮質ホルモンとして知られる、糖質コルチコイド(いわゆるステロイド)は、炎症プロセスのどこに作用するのでしょうか? その機序はNSAIDsとはずいぶん異なっています。

体のほとんどの細胞には、糖質コルチコイドに対する受容体が存在しており、かつ、その受容体は細胞の表面ではなく、細胞内に存在します。

 糖質コルチコイドは細胞膜を通り抜けて受容体と結合し、さらに核内に移行して、遺伝子発現のレベルで影響を与えます。これによって合成されるタンパク質のひとつは、アラキドン酸カスケードの最初の段階、すなわち細胞膜からアラキドン酸を切り出す過程を抑制して、抗炎症作用を発揮します。

 もちろん、糖質コルチコイドの抗炎症作用はそれだけではなく、サイトカインと呼ばれる、炎症・免疫に際して細胞が情報をやりとりするためのタンパク質(ケミカルメディエータの一種)の働きを阻害するなど、多彩なメカニズムによってその作用を発揮しています。

ステロイドのメカニズムについての説明図


(「ナース専科」マガジン2013年12月号から転載)

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