【連載】見直そう! CKD・透析ケア

第1回 慢性腎臓病・腎不全ってどんな病態? 特徴的な症状は?

執筆 喜瀬はるみ

東葛クリニック病院 透析統括師長 / 透析看護認定看護師

新たな国民病ともいえるCKD

日本における腎疾患患者は年々増加しており、厚生労働省の人口動態統計(確定数)の概況によれば、平成26年(2014年)において、腎不全は死因の第7位を占めており、日本国民の健康に重大な影響を及ぼす疾患と言っても過言ではありません。

また、慢性透析患者数は、2011年末の時点で30万人を超え、2014年末には320,448人に達するなど増加の一途をたどっています。なかでも慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)は、腎疾患の原因の如何を問わず、慢性的に経過するすべての腎臓病を指し、わが国では1,330万人、20歳以上の成人の8人に1人は、CKD患者と考えられており、新たな国民病ともいわれています。

さらに、CKD患者は、心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすいことが明らかになっており、いかにCKDを早期発見、治療することで、心血管疾患を予防するかが大きな課題となっています。そこで今回は、CKDの病態や特徴的な症状についてお話させていただきます。

まずCKDとは表1のように定義されており、糸球体濾過量GFRで表される腎機能の低下があるか、もしくは腎臓の障害(蛋白尿・アルブミン尿やその他の腎障害を示唆する所見)が慢性的に3カ月以上持続する全てのものを言います。このCKDは加齢、糖尿病、慢性腎炎症候群、高血圧、動脈硬化、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎、結石などの泌尿器科の疾患、膠原病などの自己免疫疾患、薬の副作用など、多彩な原因で生じます。そこでCKDの特徴的な症状について、腎臓の主な働きの6つに関連づけて説明します。

CKDの定義説明表

腎臓の主な働き

1.体液の調節
 腎臓は尿を多くしたり少なくしたりして、体内の水分量を一定に保っています。
 腎機能が低下すると・・・《水分が体にたまる》
 症状:むくみ(浮腫)、高血圧、低ナトリウム血症、肺水腫

2.老廃物の排泄
 身体の中の老廃物を尿として排泄しています。 
 腎機能が低下すると・・・《老廃物が体にたまる》
 症状:尿毒症(食欲低下、悪心、嘔吐、意識混濁、けいれんなど)

3.電解質の調節
 身体の中の電解質(ナトリウム、カリウム、リン、カルシウムなど)の濃度や量を調整しています。
 腎機能が低下すると・・・《電解質のバランスが崩れる》
 症状:高血圧、高カリウム血症、高リン血症、低カルシウム血症

4.酸塩基の調節
 血液を弱アルカリ性に保つことで身体のバランスを整えています。
 腎機能が低下すると・・・《血液に酸がたまる》
 症状:悪心、倦怠感、呼吸が速くなる、胃酸過多による悪心・嘔吐

5.ビタミンDの活性化
 摂取したビタミンDは腎臓で活性化され、はじめて働くことができます。活性化されたビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を助け、骨が作られています
 腎機能が低下すると・・・《ビタミンDが活性化されない》
 症状:骨の石灰化障害(くる病〔小児〕)、骨軟化症、骨粗しょう症

6.ホルモンの分泌(エリスロポエチン・レニン等)
 腎臓は様々なホルモンを分泌し体内のバランスを整えています。血液は腎臓から分泌される「エリスロポエチン」というホルモンの刺激を受け、骨髄で赤血球を産生しています。また「レニン」は血圧を調整するなど大切な働きを担っています。
 腎機能が低下すると・・・《ホルモン異常》
 症状:貧血、高血圧
 
 CKDは初期には自覚症状がほとんどありません。それがCKDの怖いところで、患者を増加させている原因でもあります。そして腎臓は一度あるレベルまで悪くなってしまうと、自然に治ることはありません。この様にCKDは非常に怖い病気ではありますが、最近では早期発見することで生活習慣の改善や薬物治療により病気の進行を遅らせることができます。早期発見のための定期的な健診の受診が腎臓を守るためには重要です。


引用参考文献
1)厚生労働省:人口動態統計(確定数)の概況:2014年
2)厚生労働省:今後の腎疾患対策のあり方について(腎疾患対策検討会報告書):2008年
3)日本透析医学会:わが国の慢性透析療法の現況
4)日本腎臓学会:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009
5)日本腎臓学会:CKD 診療ガイド2012

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