【連載】見直そう! CKD・透析ケア

第2回 腎臓機能が低下する要因・疾患は?

執筆 喜瀬はるみ

東葛クリニック病院 透析統括師長 / 透析看護認定看護師

CKDの原因はさまざま

 CKDとは、ひとつの腎疾患を意味するものではありません。腎機能低下が慢性に進行する、すべての腎疾患を含むため、それぞれの疾患により原因もさまざまです。
 
 その中には遺伝による腎疾患(尿異常・腎機能異常・腎形態異常)や、膠原病などの自己免疫疾患などがありますが、近年、肥満、高血圧、脂質代謝異常、耐糖能障害を伴う、メタボリック症候群などの生活習慣病からの発症が問題となっています。
 
 最近の研究では、CKDと診断される人では、数十年前の時点で、既に糖尿病や高血圧、肥満などのリスク要因が高い率で存在していたことが分かってきました。また、過去の時点において、抱えているこれらのCKDリスク要因の数が多いほど、CKD になるリスクが増加することも分かっています。CKD予防のためにも早期から、これらのリスク要因に対処しておく必要があると思われます。そこで、CKDの主な原因4つについてお話します。
 
【CKDの4つの原因】
(1)糖尿病性腎症に伴うCKD
(2)高血圧や加齢 (動脈硬化)に伴うCKD→腎硬化症
(3)慢性糸球体腎炎に伴うCKD
(4)その他のCKD

このうち(1)(2)(3)の病態について説明します。

(1)糖尿病性腎症

腎臓は、血液を濾過し、身体の中でいらなくなった老廃物を尿として体外に排出する働きをしています。この血液を濾過する役割をしているのが、腎臓の糸球体と呼ばれる場所です。この糸球体は毛細血管(細動脈)の塊で構成されており、高血糖の状態が長期間続くと、この糸球体の血管が硬化し、血管が狭くなると同時に、ろ過作用が低下し、最終的にはろ過機構が破綻してしまいます。この状態が糖尿病性腎症といわれるものです。

(2)腎硬化症

一般に遺伝や生活習慣と関連する本態性高血圧によって、高血圧が長く続くと、腎臓の糸球体へ血液を送る細動脈に圧力がかかるため、血管内の細胞がそれに反応して増殖し、血管の内腔が狭くなります(細動脈硬化)。そのことにより、ろ過機構が破綻、徐々に腎機能の低下を来したものをいいます。

(3)慢性糸球体腎炎

その名の通り、慢性的に糸球体が炎症を起こし、徐々に腎機能の低下を来したものをいいます。病因はいまだに解明されていませんが、免疫複合体が糸球体へ沈着することによって、炎症が引き起こされる場合が多いとされています。慢性糸球体腎炎を引き起こす抗原として明らかになっているものはごくわずかで、多様な原疾患が存在し、さまざまな組織病型に分類されています。

CKDの主要な原因には生活習慣病が大きくかかわっている

 このように、CKDの主要な原因は、糖尿病・高血圧・動脈硬化等、メタボリック症候群などの生活習慣病が大きく関与しています。しかし、これらはCKDの危険因子だけではなく、様々な心疾患の危険因子と重複しています。

 メタボリック症候群の構成因子である、高血圧、高血糖、脂質異常は、それぞれがCKDの発症・進展の大きな要因であると同時に、動脈硬化を進行させ、それらが心血管疾患を促進させるという悪循環に陥ります。

 そこで、メタボリック症候群を防ぐための生活習慣の改善が、CKDの発症・進展のみならず、心血管疾患の発症・進展の抑制にも重要ということから、最近、心腎連関という概念が提唱されてきました。

 これは、心臓病患者はCKDを発症しやすく、また逆にCKD患者は心臓病を合併しやすいという意味です。2003年に米国心臓病学会AHA(American Heart Association )においても、循環器専門医の立場から、CKDは心血管病(Cardio vascular disease: CVD)発症のリスクであるとの声明が発表され、CKDになると血管病および心臓病を合併しやすいことが明らかになり、さらに、多くのCKD患者が、末期腎不全(腎代替療法が必要)に至る前にCVDで命を落していることも判明しました。また現在、透析患者の主な死亡原因もCVDです。CKDの合併症治療において、CVD管理は、最も重要な課題であり、腎臓専門医と循環器専門医との医療連携が重要となっています。


引用参考文献
日本腎臓学会:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013

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