【連載】実践!エンゼルケア

第17回 エンゼルメイク実践編 (5)「血色をおぎなうチークカラー」と (6)「眉(アイブロウ)・アイライン・マスカラ」

解説 小林光恵

「エンゼルメイク研究会」「看護に美容ケアをいかす会」代表

臨終を迎えた患者さんの人格や尊厳が失われないよう、ご遺体がみなさんの手を離れるまでケアを行なう「エンゼルケア(逝去時ケア)」。本連載ではそのエンゼルケアの実践法を解説します。


▼エンゼルケアについて、まとめて読むならコチラ
エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など


 今回の顔のエンゼルメイクの解説は、前回行ったファンデーションで肌の色を整えた後に血色をおぎなう「チークカラー」、表情に穏やかさをもたらす「アイブロウ」「アイライン」「マスカラ」の実践についてです。

チークカラーの目的

 血色をおぎないます(血色をおぎなうことで表情が穏やかな印象になる)。
※ファンデーションに赤みをプラスしただけでは、失われた血色、さらに失われていく血色がおぎなえないため。

チークカラーを入れる際のポイント

・生きている時に、自然に赤みのある箇所におぎないます。
・エンゼルメイクの時間があまり取れないとき、乾燥対策の油分はマストですが、もう一つ何かできそうという時に血色を入れるのもいいでしょう。
・パウダーチークは、太いブラシを使う方が自然な印象の血色がつきます。

チークカラーの手順

1)血色用化粧品を用意します。

チークパレット

(1)パウダーチーク(3色)
(2)カラーパウダーとリップカラーのパレット(このうち赤みのある色を使用)
(3)ファンデーションパレット(このうちオレンジ系、赤系、ピンク系肌色などを使用)

2)血色をおぎなう箇所は、額・まぶた・頬・顎先・耳などです。鼻は避けます。粉っぽくならないほうがよい場合は、赤のリップ(口紅)カラーを使用してもよいでしょう。

血色を補う場所

3)ご本人らしい血色というのがありますから、肌と比較して自然な色を選びます。

チークの選び方

4)太めのブラシにチークカラーを取り、自分の手首の内側などで余分なチークカラーを落とした後、額・まぶた・頬・顎先にのせるように肌になじませます。

チークの入れ方

5)耳にも忘れずに血色を入れます。耳は口紅など、パウダー状以外の血色用化粧品の方が落ちにくいです。どうしてもエンゼルメイクの時間が取れないときなど、耳にだけ血色を入れるという対応もいいでしょう。

チーク

 手の甲に赤みを取り、耳たぶや耳介のふちあたりに点々とのせるようにつけます。

耳の血色の有無は穏やかさを大きく左右します。蒼白化により耳の白さが目立つ場合が多いため、耳に血色をおぎなうと穏やかな印象になります。ご家族に指で耳に血色をつけてもらうのもいいでしょう。

 また指先も白くなっていたら「指先にも赤みを入れましょうか」とご家族に声をかけてみてもよいと思います。
※院内でエンゼルメイクの伝達講習会などを開く場合、エンゼルメイクのエッセンスの伝わる演習として、クレンジングマッサージや耳に血色を入れる作業の実施がおすすめです。

眉(アイブロウ)の目的

・表情をおぎないます。
・その人らしい印象をつくります。

眉(アイブロウ)のポイント

・眉は顔の印象を大きく左右します。その人らしさにかなり影響する部分であるため、ご家族と詳細に相談しながらメイクします。
・眉が長くのびている場合があります。カットする際は必ずご家族の了承を得ましょう(勝手にカットされたという思いをもたらす場合があるため)。

眉(アイブロウ)の手順

1)眉ブラシを使用して、毛をとかして流れを整えると同時に眉毛の根元部分に溜まった油分や汚れを取ります。

アイブロウの手順

2)パウダーを中細程度のブラシに取り、手の甲にブラシの毛先を少しあてて色の感じを確認し、眉の薄くなっている部分をおぎなうように描くか、うっすらと眉を描きます。

※ここではペンシルを使わず、パウダータイプのアイシャドウなどでブラシを使い自然に仕上げます。
※自然な仕上がりにする方法としてグレー系やブラウン系のカラーパウダー(アイシャドー・アイカラー)の使用をおすすめします。
アイブロウの手順2

3)眉尻はアイブロウペンシルを使って自然に描き「太さや形など、このような感じはいかがでしょうか」などとご家族に確認します。

アイブロウの手順3

アイラインの目的

・表情をおぎないます。
・穏やかに目を閉じている印象をつくります。

アイラインのポイント

・高齢者や男性にもおすすめです。

アイラインの手順

1)眉と同様にカラーパウダー(グレー系・茶系・黒など)を極細ブラシで取り、上まぶたのふちにアイラインを薄く描きます。

アイラインの描き方

※この方法であれば、まぶたにたるみのある場合でも描きやすく自然な印象になります。
※手がふれて、頬のメイクを崩さないようにティッシュペーパーをあてます。

2)目尻はアイライナーペンシルで描きます。場合によっては、まぶたのふちの全てに描くのではなく、目尻のみでもよいでしょう。最後に綿棒を軽くあて色をなじませます。

アイラインの描き方のコツ

マスカラの目的

・表情をおぎないます。
・穏やかに目を閉じている印象をつくります。

マスカラのポイント

・ついているのがわからないくらい薄くつけます。
・高齢者や男性にもおすすめです。

マスカラの手順

1)メイクを崩さず、マスカラが皮膚につかないようにティッシュペーパーを敷き、マスカラをつけます。
※つける直前にティッシュペーパーでマスカラを拭くと、まつ毛につくのはごく少量になり、つけているのがわからないほど自然で穏やかに目を閉じている印象になります。

マスカラの付け方

2)無理にまつ毛の根元からつけずに毛先のみでもよいでしょう。

マスカラのコツ

今回のエンゼルメイクの仕上がりです。チーク・眉(アイブロウ)・アイライン・マスカラにより血色がおぎなわれてその人らしい表情を取り戻しました。

エンゼルメイク


次回も引き続き、エンゼルメイク実践編 (7)「リップカラー・ネイルカラー」と「顔のエンゼルメイク用、物品の管理方法」を解説します。


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