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ヒヤリ・ハットを防止するには?

解説 貝瀬 友子

関東学院大学 看護学部看護学科療養支援看護学 教授

当事者でない事例も一歩踏み込んで読み込む

医療事故やヒヤリ・ハットの記事を読んで、「造影剤の事故か。目新しい事故ではないな」「気をつけよう」で終わってしまっては再発防止にはなりません。自分の職場では、造影剤を準備して担当医に手渡すまでの流れの中で、どの時点で、誰が、どのようにチェックを行っているかを確認してみましょう。これにより誤薬のリスクが発見できれば、同様の事故を防ぐことができます。そしてそのためには、脊髄内禁忌薬の知識が必要。このニュースを、自部署で使用している、誤用によるリスクが高い薬剤についての知識の確認や、注意喚起の方法を見直すチャンスと捉えることが重要です。

このように、1つのニュース記事も、自部署やスタッフの問題として一歩踏み込んでみていくと、業務の見直しや学習の機会となり、事故防止につながります。この姿勢は、院内でのヒヤリ・ハット報告を聞いた場合も同じ。自分のものとして考え、検討することが大切だといえます。

ヒヤリ・ハットの発生件数

普段看護の現場でよく出合うのは、事故よりもむしろヒヤリ・ハット(インシデント)でしょう。2002年に医療安全対策のための医療法施行規制が改正され、その報告が義務付けられてから10年余り。ヒヤリ・ハット事例の報告もシステムも定着してきました。

では、皆さんが職場で書いたヒヤリ・ハット報告はどのように生かされていますか? おそらく、リスクマネジャーに集められた報告を、医療安全委員会が中心になってデータ分析をしているのではないかと思います。

しかし、うまく活用されているかとなると別の話。発生件数や有害事象があったか、なかったか、にばかり目がいくと、本来のヒヤリ・ハット報告の意味が失われてしまいます。13年10月~12月の3カ月間に1125の医療機関で18万3459件のヒヤリ・ハット事例が報告されています*。内訳は、1位「薬剤」、2位「療養上の世話」、3位「ドレーン・チューブ」で、事例情報をみると「療養上の世話」の7割が「転倒・転落」となっています。