【連載】よくわかる! 気管切開の大事なところ!

気管切開の分類と閉鎖の条件|閉鎖すると声を出せるようになる?

執筆 和足孝之

Mahidol University, Faculty of Tropical Medicine.

目次


▼気管切開についてまとめて読むならコチラ
気管切開とは? 気管切開の看護


気管切開は目的によって2つに分類

 ミュージシャンや音楽プロデューサーが喉頭がんのため、術後に声を失ってしまったというニュースをよく耳にします。気管切開を行うと一生声を出せなくなるのでしょうか?
 
 気管切開は目的により、1.一時的気管切開、2.永久的気管切開の2つに分類されます。要点を先に言うと、耳鼻科疾患である上気道の悪性腫瘍の術後や、回復が見込めない神経難病等を除いて、多くの場合は一時的気管切開が選択されています。

 2つの違いは、永久的気管切開は分離した気管粘膜を完全に皮膚と縫合してしまうため、自然閉鎖をしなくなり、喉頭との交通も完全に遮断されます。よって、喉頭を使っての発声が永久に不可能となってしまいます。喉頭がんの患者さんが、食道発声法や人工喉頭発声法という特殊な訓練を行う必要があるのもそのためです。

条件がそろえば閉鎖も可能

 一方、一時的気管切開は次の3つの条件がそろえば閉鎖することが可能です(文献7)参照)。
 
1.上気道閉塞症状がない
2.痰が多くなく、粘稠すぎない
3.痰排出にあたり、十分な咳嗽が可能である

 閉鎖といっても手術などを要することはまれで、ほとんどの場合、抜去後すぐに自然に穴の周囲の皮膚が収縮して創部の上皮化が始まり、数週間~月の単位で治癒します(残念ながら、瘢痕は残ります)。

 気管切開を閉じていく実際的な方法としては、徐々にカニューレのチューブサイズを小さくしていく方法があります。これは最低でも6㎜のサイズまで、抜去1週間前までに小さくしていくというものです。慢性呼吸不全がある患者さんを対象にした研究では、この方法で約8割の確率で成功すると報告されています(文献8)参照)。

 また、カニューレに蓋をする時間を12、24、48時間と徐々に伸ばしていく方法もあります。この場合、初回ストライダー(喘鳴)が聴取されないことと、十分な咳ができることの確認が重要となります。

【参考・引用文献】

1)丸川征四郎:気管切開の適応と禁忌.集中治療医学講座13 気管切開 外科的気道確保のすべて.丸川征四郎,編.医学図書出版,2002,p.7-12.
2)Hyzy RC:Overview of tracheostomy.UpToDate 2015(2015 年12 月1 日閲覧)http://www.uptodate.com/contents/overview-of-tracheostomy
3)Diehl JL,et al:Changes in the work of breathing induced by tracheotomy in ventilator-dependent patients.Am J RespirCrit Care Med 1999;159(2):383-8.
4)Gomes Silva BN,et al:Early versus late tracheostomy for critically ill patients.Cochrane Database Syst Rev 2012;3:CD007271.
5)Terragni PP,et al:Early vs late tracheotomy for prevention of pneumonia in mechanically ventilated adult ICU patients:a randomized controlled trial. JAMA 2010;303(15):1483-9.
6)Young D,et al:Eff ect of early vs late tracheostomy placement on survival in patients receiving mechanical ventilation.JAMA 2013;309(20):2121-9.
7)O'Connor HH,et al:Tracheostomy decannulation.Respir Care 2010;55(8):1076-82.
8)Ceriana P, et al:Weaning from tracheotomy in long-term mechanically ventilated patients:feasibility of a decisionalfl owchart and clinical outcome.Intensive Care Med 2003;9(5):845-8.

(「ナース専科」マガジン2016年2月号より転載)


この記事を掲載した2016年2月号についてはこちら
2016年2月号

【この連載の他記事】
* 気管切開をしたら食事はできない?
* 気管切開患者さんの誤嚥はカフで防げる?
* 気管切開の種類とタイミング

ページトップへ