【連載】伊藤麻紀先生の『ストーマケアはじめの一歩』

第7回 術後のストーマ管理と観察ポイント

執筆 伊藤 麻紀(いとう まき)

日本赤十字社医療センター 循環器・泌尿器科病棟/皮膚・排泄ケア認定看護師

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ストーマとは? ストーマケアについて


術直後のストーマ管理

 今回は術後創と排泄管理方法について解説します。

排泄管理は炎症・感染に注意

 ストーマ創は、腸粘膜と皮膚という異なる組織を縫合していることから、治癒までに時間を要します。また、術直後より排泄物で汚染される汚染創であり、一次縫合創であるため炎症や感染、粘膜皮膚接合部離開を起こしやすい状況です。さらに、周囲に清潔操作を伴う正中創(腹腔鏡下であればカメラやポート挿入創)やドレーンがあり、排泄物による汚染で創感染を起こす可能性があります。

 一方、尿路ストーマの場合、腎盂からストーマまで尿管ステントが留置されるため、清潔操作が必要となります。

 以上のことから、汚染創であるストーマ創はパウチング法(ストーマパウチで排泄物を回収し、清潔創から隔離する方法)を用いた排泄管理を行います。清潔創である正中創などは、排泄物が漏れてもブロックできるドレッシング材で保護することが必要です。

術直後は透明なストーマ袋を使用

 患者さんは手術室からストーマ装具を貼付して戻ってくるため、ストーマおよび周囲皮膚を直視して観察することができません。そのため、装具をはがしたときに確実に観察していきます。

 術直後は正中創やドレーンとの距離、浸出液の量、ストーマ装具がきちんと貼付されているか、浸出液による装具の汚染の有無などを観察します。

 さらに、術直後はストーマ粘膜の観察ができるよう、ストーマ袋は透明なものを使用します。ストーマ袋の上から、1.ストーマの色、2.ストーマの浮腫の有無、3.出血の有無・量、4.浸出液の量、5.ステントの長さ(尿路ストーマの場合)、などを観察できます。

術後のストーマはどこをみる?

ポイントを押さえて観察

 術後の装具交換時は、ストーマおよび周囲皮膚、そして腹部全体を直視し、観察できる機会です。ポイントを押さえて観察をしましょう。おもな観察ポイントは下記のとおりです。

【おもな観察ポイント】

1.ストーマの色:鮮赤色もしくはピンク色
2.サイズ:縦×横×高さ(腹壁から排泄口までの高さ)
3.ストーマ粘膜の浮腫の有無
4.排泄口の位置
5.皮膚粘膜接合部の状態(発赤、腫脹、疼痛、排膿の有無)
6.近接部の発赤、腫脹・びらんの有無・部位
7.皮膚保護材貼付部の発赤、びらん、潰瘍、毛嚢炎の有無・部位
8.皮膚保護材貼付外周部のびらん、潰瘍、毛嚢炎の有無・部位
9.正中創やドレーン等の位置・ストーマとの距離
10.尿路ストーマの場合、ステントの長さ

 なお、ストーマおよび周囲皮膚を観察する場合は、部位の名称と方向は下図のように表現します。観察した内容を記録する際は、「粘膜皮膚縫合部 3時方向、一部離開」「ストーマ近接部7-9時方向にびらんあり」のように記します。

部位の名称
図 部位の名称

はがした装具の観察

 はがした装具の観察は、貼付期間の腹壁の状況や交換間隔を評価するために行います。面板を確認し、皮膚保護材の膨潤や溶解している範囲、部位を観察します。

 ストーマ孔から1㎝以上皮膚保護材が膨潤もしくは溶解している場合は、交換間隔が長い可能性があります。1日短くするなど交換間隔の見直しを検討します。

 また、膨潤や溶解している部分が、ストーマ孔から均一とは限りません。一方向に膨潤が進んでいる場合は、その方向にくぼみやしわ等の腹壁の凹凸があり、排泄物が潜り込みやすい可能性があります。

ストーマの観察

 術後のストーマはピンク色で、ストーマ粘膜の浮腫が強く、傷つきやすく、出血しやすい状態です。そのため、愛護的ケアが必要となります。また、ストーマの排泄口は粘膜の上にあるとは限らず、単孔式、双孔式などストーマの種類によっても場所・口数が異なります。双孔式ストーマの場合、便が出てくる口側と粘液が出る肛門側があるため、その確認も必要となります。

 次に、ストーマ粘膜と皮膚の縫合部、粘膜皮膚接合部の観察を行います。埋没縫合では表面上、縫合糸を見ることはできません。粘膜と皮膚の接合状態、炎症所見の有無(発赤・腫脹・疼痛・排膿)を確認します。

 さらに、ストーマのサイズを計測します。これは、ストーマ装具の面板をストーマサイズに合わせて切るために行います。サイズ計測は、ストーマそのものの大きさではなく、基部の大きさを測ります。高さはストーマ全体の高さではなく、腹壁から排泄口の位置となります(下図参照)

サイズ計測
図 サイズ計測

ストーマ周囲皮膚の観察

 ストーマ周囲皮膚は、排泄物や皮膚保護材の影響を受ける部位です。また、粘膜皮膚接合部や正中創などがその周囲に存在し、術後合併症としての創感染に注意が必要です。装具をはがしたときの観察は非常に重要になります。

 周囲皮膚の部位に沿って、炎症症状(発赤・腫脹・熱感・疼痛)やびらん、皮疹等の皮膚障害の有無、ストーマに連続したしわや凹凸の有無などを観察します。

ABCDStoma(R)ケアを活用

 ストーマ周囲皮膚障害の重症度を評価するスケールとして、『ABC-Stoma(R)ケア』があり、活用している施設もあります。

『ABC-Stoma(R)ケア』は日本創傷・オストミー・失禁管理学会のホームページから確認することができます。

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