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【連載】この心電図をみたら何をすべき?

第2回<準備編②>3点誘導を自在に使いこなそう

解説 大八木秀和

JCHO大阪病院循環器内科医長/日本循環器学会認定循環器専門医

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モニター心電図と12誘導心電図の関係

看護師の皆さんは病棟で12誘導心電図よりも、モニター心電図に接することが多いと思います。モニター心電図と違い、12誘導心電図はほんの数秒間、心臓から発せられる12種類の電気信号の変化を記録するのが目的です。

1.3点誘導の目的

3点誘導のモニター心電図から得られるのは、1種類の心電図波形だけです。では、この1種類の心電図波形から、私たちはどのような情報を得ようとしているのでしょうか? 

次の3つから選んでみてください。
①心拍数計測
②不整脈の発見と診断
③心筋虚血の発見と診断

一般に用いられている3点誘導は、①と②が目的になります。
③も不可能ではないのですが、経験とテクニックが必要です。

なかには、「ICU勤務で普段から5点誘導を使って、心筋虚血や梗塞の判断をしています」という看護師さんがおられるかもしれませんね。そうなんです。3点誘導とは違い、5点誘導は③もチェックが可能なのです。

でも、ここで知っておいていただきたいのは、5点誘導でも心筋虚血や梗塞が100%判定できるというわけではないという事実です。

第1回目の最後に少し述べましたが、12誘導心電図のⅡ誘導は、通常3点誘導の波形と同じ形をしています。そして、このⅡ誘導は解剖学的にもP波とQRS波の関係が一番よくわかる心電図波形なのです。そのため、①と②をチェックするのに適しているというわけです。

2.5点誘導の目的

①、②に加え、③をチェックしようとすると、右心系の心筋虚血はⅡ誘導で、左心系の心筋虚血はV5誘導で変化がとらえられるため、この2つの誘導を同時にモニタリングできればよいということになります。それが5点誘導なのです。

でも、実際にはどうでしょう? 本当にこのⅡ誘導とV5誘導の2つをモニタリングできていれば、心筋虚血を100%とらえることができるでしょうか? 経験者ならわかると思いますが、“必ずしもとらえられないことがあります”。5点誘導では、おそらく80~90%くらいしかSTの変化をとらえることができないでしょう。

3.12誘導心電図の活用

ですから、本来最も確実なのは心筋虚血や梗塞が疑われたら、“すぐに12誘導心電図をとる”ことです。これにより、はじめて①~③をカバーすることが可能になるということを覚えておきましょう。

というわけで、看護師がマスターしなければならない技術・知識は、モニター心電図の解釈だけでなく、12誘導心電図を必要なときにちゃんととれるかが重要になってきます。そういった理由から、看護学生や実習時に12誘導心電図のとり方を勉強するんですね。

>>次ページは、「モニター心電図の活用」「覚えておくと便利なテクニック」について解説します。