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【連載】この心電図をみたら何をすべき?

第9回 <読み方・対応編⑦>心室頻拍(VT)

解説 大八木秀和

JCHO大阪病院循環器内科医長/日本循環器学会認定循環器専門医


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(1)心電図波形の特徴

 第8回目で心室性期外収縮(PVC)を勉強しましたが、このPVCが3連発以上続く場合を心室頻拍(VT)(図)といったり、Short run(ショートラン)といったりします。

心室頻拍(VT)の波形の図

図 心室頻拍(VT)の波形

 VTには心拍数が100回/分前後の比較的安全なもの(Slow VT)もありますが、心拍数が200回/分近くかそれ以上となり、心室細動に移行するような場合もあります。

 実際の臨床では、PVCが2連発なら特に何もないことも多いのですが、さすがに3連発以上になると、医師も心配になっていることが多いというイメージを知っておいてください。

 また医師は、VTが長いというおおよそ目安を次のようにPVC が30秒以上続くか否かで考えています。
 30秒未満:NSVT(non-sustained VT)
 30秒以上:SVT(sustained VT)

 VTは短時間なら、心拍出量が減少してもなんとか生命を維持できますが、長時間になると心拍出量が維持できなくなり、脳への血流も減少し、意識が消失します(アダムストークス発作)。この状態がさらに続くと、Pulseless VTといって心停止と同じ状態になります。

 NSVTでもPulseless VTになることはありますが、多くはVTの継続時間が長いほど、つまりSVTのときほどPulseless VTになる確率が高くなります(まれに1、2分とSVTが続いても意識がしっかりしている患者さんもいます)。

心停止と心静止の違い

 心停止は心拍出量が減り、脈が触れないけれども波形はある状態
 
心静止は脈も触れず、波形もフラットの状態(もちろん心拍出はありません)

(2)どんな病態?

 心室が起源の不整脈で、刺激伝導系を通って心臓が収縮と拡張を繰り返すのとは異なり、一方的に速い速度で心室だけが動いているため、十分な血液が心臓から全身に送り出せなくなる状態です。

(3)緊急度と看護師としての対応

 超緊急事態と考えて、まずこの波形をみたら急いで患者さんのところへ駆けつけ、意識を確認してください。

 呼びかけても反応がなければ、大きな声を出して人を集め、AEDを準備しながら、10秒以内で心拍と呼吸をチェックします。もし、なにも反応がなければ、Pulseless VTとしてCPR開始です。

 仮に、意識があり、脈が触れていたとしても、SVTになるとやはりPulseless VTになるので、そばから離れず、医師に「VTです! 急いできてください」と知らせ、やはり人手とAEDを準備しましょう。

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