【連載】この心電図をみたら何をすべき?

第11回 <読み方・対応編⑨>心室細動(VF)

解説 大八木秀和

JCHO大阪病院循環器内科医長/日本循環器学会認定循環器専門医

心房細動は第5回目ですでに勉強しました。心房のいろいろな部分が小刻みに震えているのでしたよね。

心室細動も同様で、心室のいろいろな部分が小刻みに震えている状態です。
心房細動の場合、この小刻みに震えた心房でも、そのうちの何回かの電気刺激が刺激伝導系を伝って心室にたどり着けば、QRS波が起こり心室は収縮し、効率は悪くても全身に血液を送ることができました。

しかしながら、もしこの小刻みに震える状態が心室で起こった場合はそうはいきません。心室がちゃんと収縮できるようなしっかりとしたQRS波がつくれず、心臓から血液が駆出できない状態になるのです。

超がつくほど緊急事態の心電図波形がこの心室細動です(図)。

心室細動の波形
図 心室細動の波形

モニター心電図でこの波形をみたら、すぐに患者さんのもとへ駆けつけ、声かけをし、反応がないときはすぐに大声を出して人を集め、人手とAEDを準備する指示を行い、10秒以内に呼吸と脈を確認し、全く反応がなければ、すぐにCPRを開始するという一連のBLSを行う必要があります。

(1)心電図波形の特徴

心室細動とは、心電図上無秩序で不規則な基線の揺れしか示さない心室興奮で、リズミカルな心臓収縮が消失した致死的不整脈です。フリーハンドで波線をでたらめに書いた感じの波形。見た瞬間に“危ない!”とわからなければならない波形です。

(2)どんな病態?

心電図でQT延長からR on T(第10回目参照)をきっかけに起こることが多く、心室はポンプ機能を失っており、すぐにCPRが必要な状態です。

(3)緊急度と看護師としての対応

上でも述べましたが、すぐにCPRを開始し、一刻も早く除細動を行う必要がある病態です。

ドクターコール例としては、たったひと言です。
「先生、すぐに来てください。心停止です!!」。

急ぐときは、「簡潔明瞭」が肝心です。何歳の男性で、○△で入院中なんですが、昨日まで……と延々と説明してはいけません!

理屈ではわかっていても、いざ現場に遭遇すると、頭の中が真っ白になるのは医師も同じです。ですから、みなさんもBLSの講習、できればACLSの講習を受講していただきたいです。私もAHAのBLS、ACLSの講習会を、資格を維持するためでもありますが、2年に一回ちゃんと受講しています。

知識や技術は習ってすぐは覚えていますが、時間が経つと忘れていくものです。自分の身体に自然に身につくまで、何度も心肺蘇生の現場に立ち会うなんてことはなかなか難しいですから、やはり講習会をうまく利用して技術を身につけることおすすめします。

この連載を読んでわかっただけでは、ペーパードライバーと一緒です。
みなさんもぜひ受講しましょう!

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