お気に入りに登録

【連載】この心電図をみたら何をすべき?

第13回<読み方・対応編⑪>洞不全症候群(SSS)

解説 大八木秀和

JCHO大阪病院循環器内科医長/日本循環器学会認定循環器専門医

第3回目で洞性頻脈という不整脈を勉強しましたね。

これから勉強する洞不全症候群も「洞性」という言葉が含まれていますよね。「洞」=洞房結節なので、洞房結節が不全、つまりうまく働いていない疾患群という意味です。もっとかっこよく言うと、「洞不全症候群とは、洞房結節における刺激生成異常および洞房伝導の異常に伴う徐脈を主徴とする症候群」ということになります。

あと、洞不全症候群という言葉を聞いたら、“ペースメーカーが必要かもしれない”と連想できるようになることが大切です。

(1)心電図波形の特徴

洞不全症候群はよく次の3つに分類されることが多いため、3つに分けて解説します。

Ⅰ型:原因不明の持続性洞性徐脈(心拍数が50回/分以下)(図1)


図1 原因不明の持続性洞性徐脈の波形
RR間隔の延長

Ⅱ型:洞停止(図2)・洞房ブロック(図3)


図2 洞停止の波形
P波が一定のリズムで現れず、PP間隔が延長する


図3 洞房ブロックの波形
P波が一定のリズムで現れず、PP間隔が延長する。延長したPP間隔はそれまでのPP間隔の2倍、もしくは整数倍となる。実際には、洞停止と洞房ブロックとの鑑別は難しい。

Ⅲ型:徐脈頻脈症候群(図4)


図4 徐脈頻脈症候群の波形

Ⅰ、Ⅱ群のほかに心房粗動(AFL)、心房細動(AF)、発作性上室頻拍(PSVT)といった頻脈を伴うもの 。

(2)どんな病態?

大部分は原因がわかっていないのですが、病理学的には洞房結節を含む刺激伝導系の変性、つまり洞房結節細胞の減少、周囲の脂肪変性や線維化が原因といわれています。

このように、洞房結節周辺の慢性的な機能不全により、著しい洞性徐脈、洞停止、洞房ブロックによって、心拍出量が低下し、めまいや立ちくらみ、失神などの脳の虚血症状を起こしたり(アダムス-ストークス症候群)、息切れや疲労感が出現します。

これらの中で、徐脈頻脈症候群は発作性心房細動や心房粗動、発作性上室頻拍などの上室頻拍の停止時に、急に洞不全に伴う洞停止を起こすものです。

(3)緊急度と看護師としての対応

どの洞不全症候群も一番の問題は、RR間隔が長くなって3秒以上に達し(つまり3秒以上心臓から血液が駆出されないため)、意識消失や失神などの症状をきたした場合です。

歩いているときに急にこの不整脈が現われたら、意識消失や失神から転倒して頭部打撲から脳出血の危険や万一ふらついて道路側に倒れたら、自動車にひかれるなど、とても危険ですよね。そのため、症状が出現しないようペースメーカーの植え込みが必要になります。

病院に入院中、突然この洞不全症候群になった患者さんを見つけた場合は、医師に連絡しましょう。緊急対応として、深夜でもペースメーカーの留置や、頻拍傾向を誘発して脈を速くするカテコラミンの持続注射などを行うこともあります。

また、超緊急時には経皮ペーシングを行うこともあるので、除細動器の準備も必要になります(除細動するのではなく、除細動器には経皮ペーシングができるものがあるからです)

ドクターコール例としては、次のようにいうとよいでしょう。

「先生、患者の○×さん、病棟で歩いているとふらつき感があるというので、モニター心電図をチェックしたのですが、RR間隔が3秒以上伸びている波形が見つかりました。一度みてもらえますか?」