【連載】実践!エンゼルケア

第19回 部位別のエンゼルメイク(1)点滴やカテーテルなど医療器材の取り外し

執筆 小林光恵

「エンゼルメイク研究会」「看護に美容ケアをいかす会」代表

臨終を迎えた患者さんの人格や尊厳が失われないよう、ご遺体がみなさんの手を離れるまでケアを行なう「エンゼルケア(逝去時ケア)」。本連載ではそのエンゼルケアの実践法を解説します。


▼エンゼルケアについて、まとめて読むならコチラ
エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など


 今回から「部位別のエンゼルメイク」を解説します。点滴やカテーテルなどの医療器材を取り出す際には、死後変化が関係した「皮下出血」に注意する必要があります。

皮下出血と体外出血の予防について

 臨終後は、血液循環の停止などにより血液凝固因子が大量に消費されます。したがって血液は血液凝固因子が少ない状態になりますので、生体の時より止血がしづらくなるのです。

 点滴針やカテーテルを抜去した箇所にガーゼを充ててテープを貼った場合、その時には問題がなくても時間経過とともにジワリジワリと出血し、皮下出血を起こします。さらに時間が経つとその部分の色が変化し目立つ場合があります。

皮下出血

 図1のように、特に鎖骨の辺りは目にふれやすい場所です。それともう一か所は、手の甲に点滴の注射針を入れていた場合です。手の甲も目にふれやすい部位ですので取り外す際の配慮が必要です。

 続いて「臨終後の医療器材の取り外し方法」について解説します。

臨終後の医療器材の取り外し方法

 医療機器の取り外しを始めるにあたっては、あらかじめご家族への説明を行います(詳しくは「ナースのための決定版エンゼルケア/学研メディカル秀潤社」で解説しています)。

中心静脈カテーテル抜去の方法

カテーテル

1)カテーテルなどを固定しているフィルム剤を皮膚に負担がないように丁寧にはがします。
2)抜去部にガーゼ数枚をあてておさえ、幅広テープ(アルケアシルキーテックスなど)で面圧迫固定をします。そうすることで皮下出血を起こすスペースをつくらないようにします。テープは目立たない色を選択し、衣類のえりの開きを意識した方向に貼ります。
3)漏れが生じた場合のためにフィルム剤(アルケアマルチフィックスなど)を貼ります。

※1)2)、1)3)のみの対応でも可能です。
※ガーゼの白を目立たないようにしたい場合は、肌色テープを重ねます。

 また最近はカテーテルを抜去する行為が皮下出血を助長することになるので、抜去せずに上からガーゼをあててテープを貼るという対応をしている施設も出てきています。

 その場合、途中で切ったカテーテルの断面をテープや接着剤などで止めれば断面から漏れることもありませんので「カテーテルを抜去しない」対応も併せて職場で検討してみてください。

末梢点滴の抜去

末梢点滴の抜去イラスト

1)皮膚に負担のないように静かにテープやフィルム剤をはがし、周辺皮膚が血液などで汚れている場合はアルコール綿で拭います。
2)針を抜きガーゼで圧迫固定をします。

※皮膚に付着しているテープののりは、クレンジング・クリームや泡フォームで落とします。ベンジンは皮膚に負担があるためできるだけさけます。

 点滴の針は入ったままだと痛いですし金属製ですので、火葬のことも配慮し抜去します。手の甲をグッと圧迫してテープで固定します。CVポートの対応は、注入針を抑えながらフィルム剤をはがし針を抜き、その部分をアルコール綿で静かに拭きます。

 次回は「部位別のエンゼルメイク(2)外傷・熱傷・褥瘡や腫瘍がある場合」について解説します。

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