【連載】訪問看護ステーション起業物語

在宅看護との出会いまで

解説 石川徳子(いしかわ とくこ)

一般社団法人空と花 訪問看護リハビリステーション 日本財団在宅看護センター 代表理事

「理想の訪問看護ステーションを開業したい!」という思いを実現した一人の看護師の物語です。そこには起業を目指す方に向けて、たくさんのヒントが詰まっています。


私と在宅看護の出会い

これから全10回にわたり、私の開業までのお話をさせていただくことになりますが、まずこれまでの経歴を絡めながら、私と在宅看護の出会いを話したいと思います。

総合病院で最初の看護師人生をスタートさせた私は、その後、大学病院での看護師としての勤務を経て、結婚・出産をきっかけに看護の現場を一旦離れ、看護専門学校で看護教育に携わってきました。

ただ、主人が転勤族だったこともあって、専門学校を退職した後は、子育てをしながら複数の病院で看護師として勤務してきました。その後、地元の北海道に戻るチャンスがあって、再び、看護教育の場に戻るのと同時に看護大学に編入することにしました。

当時は、今のように専門学校や短大を出て、そのまま大学院に行けるというシステムではなかったので、看護師が修士を目指そうと思うと、大学を卒業して、まず学士を取ることが必要でした。

ただ、理由はそれだけではありませんでした。私が再度看護教育の世界に入る数年前に「在宅看護」がカリキュラムに追加されたのですが、自分がやったことがなかったので、イメージできませんでした。そこで、大学で在宅看護論を勉強しながら、実際のところを自分の目で見てみたいなと思ったのです。

そして、編入先の大学での「在宅看護」の実習で、はじめて訪問看護ステーション(以下、ステーション)の世界に触れてみて、「あっ、自分がやりたかったことはこれなんだ」と思いました。

在宅看護路論について語る石川さん自分がやりたかったことに「在宅看護論」を通してはじめて触れたと語る石川さん

「看護ってこれだな」という思い

それまで私が行っていた病棟での看護では、「医師の指示の下」で診療の介助を行うことが前提になります。ところが在宅の場合は、基本的には自分で現場に行き、判断をして、利用者の方を支えることになります。

また、限られた時間のなかであっても、利用者の方、1人ひとりの生活に密接に関わることができますし、利用者の家族の方へのサポートにも自分で直接関わることができます。その関わりの深さと密度の濃さに触れたとき、「看護ってこれだな」と強く感じました。

その後、編入した看護大学で2年間学んで、そのまま大学院に進み、非常勤としてステーションで働くかたわら修士課程をとることにしました。
しかし、のちにまたもや夫の転勤があって、東京へ戻ることになり、大学院も退学しなければなりませんでした。

ただ、このときの夫の転勤が、私の起業への大きなきっかけとなったのです。

(つづく)


次回は、石川さんが大学で学びたかったことについてです

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