1. トップ
  2. 看護記事
  3. 症状から探す
  4. 便秘・下痢
  5. 下剤が効かない便秘の患者さん、どうする?

【連載】排泄ケアで困ったこと

下剤が効かない便秘の患者さん、どうする?

  • 公開日: 2016/7/12

ナース専科コミュニティ会員にアンケートを実施し、排便や排尿にかかわることで実際に困っていることを集め、皮膚・排泄ケア認定看護師に解説してもらいました。


下剤が効かない便秘の患者さん、どうする?

ガスや便がどこに貯留しているのかによって下剤は使い分けられている

まず、何日排便がないのか、腹痛などの症状はないか、腹部の音を聴取して腸の動きを確認します。ひどい便秘が疑われる場合は、医師に腹部X線検査について相談しましょう。ガスや便が滞っているのが小腸なのか大腸なのかによって処方される下剤が違います。また、小腸にガスや便が溜まっている場合は絶食にすることがあります。

ガスや便が小腸で滞っているなら小腸を刺激する薬を、大腸に溜まっているなら大腸を刺激する薬を、また便が硬くなる傾向がある場合は大腸における水分の吸収を抑制する緩下薬をというように、患者さんの状態に合わせた下剤を処方してもらいます。下剤の目的や作用機序について、正しく理解しておきましょう。下剤投与後は、腹部の音や腹痛などの症状、排ガス・排便状況を観察するとともに、再度腹部X線検査を行ってガスや便の状態の変化を確認します。

根本的に便秘が解消できるようなかかわりを

もともとの排便習慣、現在の食事の内容と摂取量、ADLなどを把握し、便秘の要因をアセスメントします。そもそも食事の摂取量が少ないと、便があまり作られず排便回数が減っている可能性も考えられます。また患者さんが便秘の状態をどう思っているのか、どうしたいと思っているのかを把握しておくことも大切です。

患者さんのADLが良好であれば、できるだけ離床して歩くようにしてもらうなど、便通を促すためのケアを行います。

摘便の適応なのかを確認しよう

直腸の触診によって便が直腸に降りてきているかどうかを確認します。いくら摘便をしても直腸に便がなければ、効果はありません。摘便の適応なのかどうかを確認しましょう。

また浣腸は、適応を十分に検討せずに安易に行うと危険です。特に大腸の動きが悪く大腸に便が溜まっている状態で浣腸をすると、大腸が強く刺激され、穿孔などを起こす危険性があります。

(ナース専科マガジン2015年12月号より転載)


もっと詳しく読みたい人はこちら
ナース専科2015年12月号

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

下痢が続いている患者さんの看護計画

経管栄養を開始後から下痢が生じている患者さんに関する看護計画  意識障害や嚥下機能低下など何らかの要因によって、経口から食事を摂取できない状況でも必要なカロリーや蛋白質などを摂取する必要があります。その際に経管栄養が活用されますが、副作用として下痢が生じる可能性があります。

2023/11/26

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
5位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
6位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741
7位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
8位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949
9位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
10位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818