【連載】実践!エンゼルケア

第20回 部位別のエンゼルメイク(2)外傷・腫瘍・褥瘡・熱傷がある場合

執筆 小林光恵

「エンゼルメイク研究会」「看護に美容ケアをいかす会」代表

臨終を迎えた患者さんの人格や尊厳が失われないよう、ご遺体がみなさんの手を離れるまでケアを行なう「エンゼルケア(逝去時ケア)」。本連載ではそのエンゼルケアの実践法を解説します。


今回は「顔面の外傷や腫瘍」と「褥瘡や熱傷」の対応についてです。顔に開放性の腫瘍があったり、ケガで裂傷がある方のカバーの仕方を解説します。

顔面裂傷・腫瘍への対応

外傷や腫瘍は部位、範囲、形状にもよりますが対応に限界がある場合も少なくありません。可能な範囲で目立たなくし、ほかの異常のない部分のエンゼルメイクに注力します。

陥没があり、創部の皮膚変色のある顔面裂傷の対応手順

顔面裂傷のカバー

顔面裂傷のメイク

1)汚れや分泌物の除去・消毒:洗浄あるいはガーゼや綿花で分泌物を拭い取り消毒をします(ポピドンヨード、ヒビテンアルコールなど)。
2)陥没部に詰め物を詰める:ガーゼや綿花を詰めて陥没をおぎないます。
3)縫合する:生体とは違い縫合部の皮膚は生着しないため、大きな裂傷を縫合した場合はテープ類で縫合を強化します。縫合をしない場合はテープのみで対応します。
4)肌色の不織布テープを貼る(イラスト(1)):マイクロボア、スキントーンサージカルテープ不織布、優肌絆不織布などを皮膚変色をカバーするために貼ります。皮膚がでこぼこにならないように重ねて貼らず、1枚1枚を隣り合わせで貼ります。
5)フィルム剤を貼る(イラスト(2)):乾燥変形などを防ぐために外気を遮断し、浸出液の漏れ防止のために行います。
6)肌色の不織布テープを貼る(イラスト(3)):肌色調整の強化と、この後のファンデーションが馴染みやすいように貼ります(フィルム剤の上はファンデーションがのりにくい)。
7)メイクを行う(イラスト(4)(5)):周囲の肌色に合わせて、クリームファンデーション・パウダーで整えます。

腫瘍がある場合の対応

1)腫瘍が隆起し表皮が失われているか、脆弱で変色がある場合は上記と同じ手順を実施します。
2)腫瘍が隆起し皮膚変色があるが、表皮はあり浸出液のない場合は、ほかの皮膚同様にスキンケアを行い、下地もつけ、変色部分(赤黒い変色)には、カバー力のある「暗めの赤系ファンデーション」をのせるようにつけてから、その上に「濃い色のファンデーション」と「肌色に近いファンデーション」を順に重ね、パウダーで整えます。
※パウダーで整える前にピンクのリキッドファンデーションをつけると、自然な印象になる場合もあります。

次ページでは「褥瘡・熱傷がある場合」の対応について解説します。

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