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【連載】脆弱な高齢者の皮膚を守る ~スモールチェンジエアマットレスの有効性~

脆弱な高齢者の皮膚を守る ~スモールチェンジエアマットレスの有効性~(3)【PR】

取材 真田弘美

東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 老年看護学/創傷看護学分野 教授

取材 上出良一

ひふのクリニック人形町 院長

取材 須釜淳子

金沢大学医薬保健研究域保健学系看護科学領域 教授

身体を大きく動かす体位変換は安眠を妨げ、摩擦やずれの原因となることから、須釜さんはスモールチェンジによる体位変換を提案します。

スモールチェンジの方法には、1つの小枕を右下肢、右臀部、右肩部……といったように順番に移動させていくものがあります(図1)。

しかし、複数の部位をスモールチェンジした場合の褥瘡好発部位の圧再分配効果について、また、体軸の崩れや不快感の少ないスモールチェンジ部位はどこなのかが明確になっていませんでした。そこで須釜さんは、マットレスメーカーと協同で研究を行いました。

研究は健常者を対象に行い、スモールチェンジの実施部位(左肩部・左臀部・左下肢・右下肢・右臀部・右肩部)を上下させる機能をもつエアマットレスを使用しました。まず、複数の部位を動かすことを前提に組み合わせのパターンを選出しました。そこから、左右対称の動きと足部分のみを動かすものを除いたパターンを選出し、各体圧を測定しました。そして、仙骨部の体圧が有意に減少した28パターンについて、身体アライメントは撮影比較により、不快感はアンケートにより調査しました。

28パターンのなかから、より高い効果が得られるパターンを絞り込むために、それぞれの身体アライメントの順位と不快感の順位を合計し、総合順位を算出しました。その結果、6パターン(1位:左臀部・左下肢・右臀部、2位:左肩部・右臀部、3位:左臀部・右下肢、4位:左臀部・左下肢・右下肢、5位:左肩部・左下肢・右臀部、5位:左肩部・左臀部・左下肢・右臀部)が上位に挙がり、このうち上位3パターンの共通点を確認したところ、臀部をはさんで対角線上にスモールチェンジするパターン(図2)が身体アライメントの崩れや不快感が少なく、体圧分散効果もあることがわかりました。

小枝を使用したスモールチェンジの方法図

さらに、この研究結果をもとに開発した、対角線上のスモールチェンジを自動で行う体圧分散式エアマットレス「ラグーナ®」を使用し、骨突出や拘縮がある寝たきりの高齢者を対象に臨床研究を実施しました。

すると、拘縮の強い患者さんでは身体とマットレスとの接触面積が小さく、また、スモールチェンジの実施部位と身体が大きくずれるため効果を得ることが難しい可能性があるものの、拘縮の強くない患者さんでは、スモールチェンジ後に最大体圧値の減少や低体圧部位の面積の増加がみられたといいます。

最後にスモールチェンジについて須釜さんは、「身体を大きく動かす体位変換に比べて、患者さんや介護者の負担は軽くなるものの、人手と手間がかかり、特に在宅で家族が行うのは難しい。ですが、『ラグーナ®』のようなスモールチェンジ機能を有したエアマットレスを活用できれば、在宅でのスモールチェンジが可能になる日も近いかもしれません」と講演を結びました。

対角線上のスモールチェンジ説明図

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