【連載】知っておきたい!ナースのための母乳育児&支援

第11回 "母乳育児"-お母さんの気持ちに寄り添う支援を-

執筆 水野 克己(みずの かつみ)

昭和大学江東豊洲病院小児内科 教授 同病院こどもセンター センター長。国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)

本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。


偽母乳事件をきっかけに

ウェブサイトで売買される“偽母乳”事件*を発端に、母乳育児そのものがスケープゴートにされているように思えます。
(*偽母乳事件:少量の母乳に水と粉ミルクを混ぜた不衛生な製品が、本物の母乳をうたってインターネットで販売されていた事件)

哺乳動物であるヒトが出産した母親の母乳で育つのは普通のことですよね。母乳育児を支援することがあたかも悪いことかのように報道されることもあります。“なぜそんな風にいわれるの?”と思われる方もいることでしょう。これを機会にわたしたち医療者がお母さん方に行ってきた母乳育児支援を今一度見直す必要があると思います。

お母さんが住んでいる地域によっては出産する分娩施設を選べないこともあるでしょう。出産する分娩施設が母乳育児を推進しているか、人工乳を与えるのが普通であるかによって、お母さんが妊娠前に思い描いていた母乳育児を実践できるかどうかにも影響します。

母乳育児を推進する施設であっても、母乳の利点ばかりが強調されたり、妊娠出産すれば母乳が出るのは当然といわれたり、母親なのだから母乳で育てるのが当然という価値観を押し付けられたりするとお母さんもつらくなってしまうことでしょう。

もちろん母乳育児の利点はたくさんあります。しかし、どのようにお母さんに伝えるか、そして、お母さんとともに歩んでいくか、それが大切になります。

ともに歩んできた医療者はパートナー

いま、多くの自治体がフィンランドのネウボラ*を日本にも取り入れられないか試行錯誤しています。妊娠中から一緒に歩んできた医療者は出産後も力強いパートナーとなります。これは母乳育児支援にも応用できると思います。
(*地域で行われる、妊娠期~就学前の子どもを持つ家族を対象に一貫して行われる母子支援)

母乳育児支援のもう一つの柱は小児科医による育児支援です。“お子さんは元気に育っていますよ、がんばっていらっしゃるのですね”と、ほほえみながら母親の育児をたたえてくれるなら、母親は自信をもって前を向いてわが子とともに一歩を踏み出せることでしょう。

具体的にどのようにお母さんに寄り添っていけばよいのかを2016年のペリネイタルケア3月号(メディカ出版)にまとめました。ぜひ一度、手に取って参考にしていただけると幸いです。



【参考文献】
ペリネイタルケア」2016年3月号 特集「Dr.水野に学ぶ エビデンスに基づいた母乳育児」メディカ出版
ペリネイタルケア表紙


江東豊洲 子育て&母乳育児を支援する会(KOTOCLO)
KOTOCLO(Koto Toyosu Childcare & Lactation Organization)は、「子育て中の母親が笑顔でわが子と向き合える社会の実現」を目指し、①両親への適切な情報提供 、②医療従事者への啓蒙活動 、③子育て・母乳育児を支援する社会の仕組みづくりを3つの柱として活動する団体です。

〒135-8577 東京都 江東区 豊洲 5-1-38
昭和大学江東豊洲病院9階総合医局内   
お問い合わせ:http://www.kotoclo.com


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