【連載】木澤晃代先生の『看護の特定行為ってなんですか?』

第6回 もっともっと特定行為研修について答えましょう

執筆 木澤 晃代(きざわ あきよ)

日本看護協会看護研修学校 認定看護師教育課程 特定行為研修担当

看護師が集まるウェブサイト「ナース専科コミュニティ」のスレッドを見ていたら、特定看護行為についてのさまざまな疑問が語られていました。

そこで今回も前回に引き続き、「よくある質問Q&A」形式で、みなさんのありがちな疑問にお答えしていきます。


Q4:特定行為ができる看護師は、上下関係として「看護師より上の人」なのですか?また、なぜ専門や認定看護師のように専門分野で区分けされていないのでしょうか。

看護師という資格の中で序列をつくるのはあまり好ましくないと思いますが、専門看護師、認定看護師も上下関係ではありません。それぞれ求められている役割が異なります。
(日本看護協会「専門看護師」「認定看護師」について)

H24年時点で就業している看護師は、1,067,760人です。特定行為研修の育成目標は、10万人といわれており、就業している看護師の約1割の人が研修を受けることを想定していることになります。

このうち、専門分野を持っている認定看護師は、就業看護師の約1.5%、専門看護師は、0.2%ほどです。2025年の超高齢社会では、生活しながら療養することが想定されているので、さまざまな場で活動できる看護師を育成することが求められているため、専門分野が区分けされていないと考えられます。

特定看護師が専門性を求めるのであれば、認定看護師や専門看護師の道に進むということも考えられます。
(厚生労働省  看護職員の現状と推移)

Q5:特定行為が認められた看護師が登場すると、専門看護師や認定看護師との棲み分けがしにくくなり、やっと軌道に乗り始めた専門看護師、認定看護師の業務が縮小されてしまいませんか?

専門看護師や認定看護師が臨床で活躍することで、看護師の質も上がり、医療に貢献していることが認識されてきました。特定行為研修の看護の指導者として、専門看護師や認定看護師が位置づけられていることから、すみわけというより、協働のあり方が問われると思います。専門性のある専門、認定看護師と、専門特化していない特定看護師では、役割や活動が異なると思います。

言葉を変えると、資格だけに依存せず、これからの看護の専門性が試される機会かもしれません。同じ看護師の中で、縄張り争いになっては、いい医療は提供できなくなりますので、臨床現場での活用にかかってくると思われます。


Q6:業務範囲を特化した「ミニドクターのような特定看護師」ができると、准看護師廃止論のように、いつか看護師そのものの廃止論も出てくるのではないでしょうか?

もし、ミニドクターのような特定看護師ができたとすると、特定行為研修そのものの教育内容に問題があるかもしれません。医行為だけをすることがステータスに思うような看護師は、そもそも大きな勘違いをしていると思います。特定看護師といっても、医師の指示を受けることには変わりはないので、医師の指示なく独立して実施することはできません。

医師の言いなりになって特定行為をすることが業務とするのであれば、きっとしばらくすると頭打ちになると思います。医師の指示に同意できないときに、きちんと根拠をもって提言できる特定看護師であってもらいたいと思います。特定行為研修を活用して看護の幅を拡げることを考えていく必要があると思います。

人がいるところに看護はあると思います。医療が変わるときに、看護も進化する必要があります。どのような進化の仕方が求められているのかは、特定行為研修が法制化したことを見ればわかるかと思います。看護師の活躍が期待されている捉えることもできるのではないでしょうか。

看護師が集まるコミュニティサイトで会話されていた内容には、困惑、戸惑いが多くありました。これからの医療では、医師が、看護師が、薬剤師が、といった役割をより明確にするというよりも、職能がオーバーラップして、シームレスになっていく気がします。

「お金も人も助け合わなければやっていけない時代の医療」に、それぞれの得意とする専門性を発揮して、スクラムを組むことで本当のチーム医療が実現できると思われます。職種間や患者家族との関係に、ヒエラルキーがなくなり、責任のなすりあいから、責任のシェアをすれば、いい医療ができるのではないでしょうか・・・。


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