【連載】実践!エンゼルケア

第22回 部位別のエンゼルメイク(4)皮膚に赤黒さや黄疸などがある場合

執筆 小林光恵

「エンゼルメイク研究会」「看護に美容ケアをいかす会」代表

臨終を迎えた患者さんの人格や尊厳が失われないよう、ご遺体がみなさんの手を離れるまでケアを行なう「エンゼルケア(逝去時ケア)」。本連載ではそのエンゼルケアの実践法を解説します。


▼エンゼルケアについて、まとめて読むならコチラ
エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など


 今回は「皮膚に赤黒さがある」や「黄疸などがある」場合の対応についてです。腫瘍が隆起して皮膚変色があるが表皮はあり浸出液はない、またはアザなどの皮膚変色のカバーと黄疸のある場合の顔のエンゼルメイクのポイントを解説します。

赤黒い皮膚変色への対応のポイント

 エンゼルメイクのスキンケアを行い、下地をつけ、皮膚の変色箇所に近い色のファンデーションを、赤黒い変色であればカバー力のある「赤系(ダークな赤)のファンデーション」をのせるようにつけます。

 そしてその上に「肌色に近いファンデーション」を重ねつけたあとパウダーで整えます。パウダーで整える前にピンクのリキッドファンデーションをつけると、より自然な印象になる場合もあります。

赤黒い皮膚変色へのカバーイメージイラスト

赤黒い皮膚変色の対応手順

1)赤系クリームファンデーションをつける(イラスト(1))
2)濃い色の肌色クリームファンデーションをのせるようにつける(イラスト(2))
3)肌色に近いクリームファンデーションをつける(イラスト(3))
※場合によって、ピンクのリキッドファンデーションを重ねる
4)パウダーで整える(イラスト(4))

※黒褐色や茶褐色のような変色の場合は、カバー力のある「黄色系ファンデーション」をのせるようにつけてから、その上に「肌色ファンデーション」を重ねパウダーで整えます。

 黄疸は全身に生じている事態ですが、ここではとくに問題となることが多い露出している顔面とその周囲の対応を紹介します。

黄疸への対応のポイント

 前項でもお話ししましたが肌が変色した色と同色でカバーすることが目立たなくなるポイントです。赤黒い変色には赤系(ダークな赤)のファンデーションを、黄疸の肌には黄色系のファンデーションを使います。

 黄疸の肌色が時間とともに変色すること、変色の特徴(部位によって濃く変色する)、変色部分をご家族があとからファンデーションでカバーしてもよいこと、などをご家族に伝えます。「ご家族向け文書(またはパンフレット)」にも記すとよいでしょう。

 手元も黄疸による変色がありますから、時間が経って気になるようでしたらファンデーションでカバーするとよいことをご家族に伝えます。ご家族の希望があり、時間的にも余裕があり、可能であれば手元もファンデーションでカバーします。乳液などで肌を整えたあと、顔面と同様のプロセスで行います。

黄疸のある顔へのカバーイメージイラスト

黄疸のある顔のエンゼルメイクのポイントと手順

1)黄色のクリームファンデーションを顔・首・耳になじませる※見えているところ全部(イラスト(1))
2)1)の上に、もう1枚肌色のベールをのせるような感覚で、赤味を加えた肌色のファンデーションをのせ、なじませる(イラスト(2))
3)肌色のカバーが足りない印象がある場合は、リキッドファンデーションを重ねづける→このあと通常のパウダー以降のメイクに

※下地を黄色にするのではなくファンデーションにあらかじめ黄色を混ぜてもよいです。
※ファンデーションをつける指やスポンジを何度も肌にあてると、一度のせたファンデーションが指やスポンジのほうに付着してしまうので注意します。
※ファンデーションを肌に置くようにのせていき、全体にのせ終わったあとにムラになっているなど気になる箇所はスポンジをあてて整えます。このあとのプロセスであるパウダー以降は、基本の方法と同じです。

※写真付きで解説している「小林光恵,著:ナースのための決定版エンゼルケア(学研メディカル秀潤社)」でも詳しくご紹介しています。

次回は「部位別のエンゼルメイク(5)尿道、肛門などのデリケートな部位(6)リンパ」について解説します。


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