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【連載】訪看ステーション「よつば」の公開カンファレンス

CASE05 難治性の褥瘡の治療法について模索する

執筆 川上 加奈子(かわかみ かなこ)

株式会社のものも よつば訪問看護リハビリステーション 看護主任

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Yotuba

困難事例5「順調に縮小傾向にあった褥瘡が一瞬で悪化してしまった」ケース

イレウスで寝たきりの80歳男性。
半年前まではプリンやヨーグルトを1日半分程度は食べていたが、それさえ飲み込めなくなり、現在は完全に水分のみ摂取。
栄養は高カロリー輸液で補っている状態である。
1年以上前に仙骨部に褥瘡ができ、一時期は骨も見え始め、深いポケットができ、医師からもう治らないだろうとも言われていたが、毎日の処置でかなりの改善が認められはじめた。


カンファレンスの視点

医師からは、栄養状態から考えてももう劇的に治ることはないだろうと言われたケースであるが、毎日の丁寧な処置により、やっと治癒傾向がみられはじめた。
そこで、さらなる治癒に向けて、よつばステーションでは処置方法についてカンファレンスを開くこととなった。


honoka
ほのか:毎日の泡ソープ洗浄と、ユーパスタとガーゼ保護によって10センチ大だった褥瘡が4センチ×3センチくらいまで小さくなりました。でも、そこから先がなかなか縮小しなくて。

先生はそろそろ閉鎖湿潤療法に切り替えてもよいのではと言ってくれたんですけれど、ハイドロコロイド系で閉鎖しても、浸出液が多いためすぐにふやけてしまい、結局、毎日1回交換しないと浸出液であふれてしまいます。先生には2日に1枚のペースでしか、ハイドロコロイド系ドレッシング材は処方できないと言われましたし、自費で買うのは高価ですしね。浸出液を減らしながら肉を盛り上げる薬をもう少し継続して使うしかないですかね。

kana
かな:他の利用者さんが利用されていたもので、自費で買うことにはなりますが、サイズに合わせてカットできるドレッシング材があって、そんなに高価ではないけれど、治癒力の高いものがありました。
特徴としては、
・創面に固着しない
・浸出液の吸収能力がある
・創面を乾燥させない(肌色の面は疎水性)
・薄くて柔軟(厚さ1ミリ)
・感染症状がなく、あと一歩で上皮化という傷に適している
・軟膏は基本使わない
というケースに適しています。
「手術用被覆・保護材、または熱傷被覆・保護材」という位置づけですが、医師の裁量で種々の創面に使うことは可能なものです。褥瘡の研修でも紹介されていたものです。先生に相談してみましょうか?
Aさんの状況には適していると思うのですが。

rin
りん:先生とご家族に説明をして、許可をいただき、サンプル請求して試してみてもいいかもしれませんね。


こうして上記の保護ドレッシング材を取り入れてみたところ、褥瘡のサイズは数か月で一気に半分まで縮小し、ポケットも消失した。この結果には医師も驚き、家族もとても喜んだ。
しかし、褥瘡が2センチ×1.5センチのサイズまで縮小したところで治癒がピタリととまってしまった。原因は、褥瘡の中央にある、変形して飛び出た尾骨の一部が引っかかり、周囲の肉を刺激しているためと考えられた。
そこで再び、よつばスタッフは処置の変更を検討することとなった。




次のページでは、飛び出た尾骨にどのように対応していったか紹介します。