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【連載】山内先生の公開カンファランス

第29回 さまざまな既往歴のある患者さん

解説 山内 豊明

名古屋大学大学院医学系研究科 教授 医学博士/看護学博士/医師/看護師/保健師/米国・登録看護師、診療看護師

事例
[ご老体さんから提供された事例]
70歳代、女性。認知症の患者さんで、既往歴は、慢性心不全の急性増悪、高血圧性心疾患、僧帽弁閉鎖不全症、狭心症、拘束性換気障害、糖尿病。腰痛圧迫骨折にて入院となり、精査後、転棟し退院先の調整を行っていました。腰痛で動けないと言いながら、独歩で廊下に出ては、ふらつきのため転倒寸前で保護されることを頻回に繰り返していました。
若いころから、昼食は仕事の合間を縫って摂る状態であり、それが習慣となっているためか、入院中も食事は少量で、お菓子を間食するため血糖コントロールが困難でした。また、糖尿病から腎機能の低下を起していましたが、家族が果物の差し入れをやめてくれず、数度の説明後にやっとやめてくれましたが、代わりに饅頭や餅が差し入れされるようになりました。
同室に人工呼吸器を装着した患者さんがおり、ケアのため頻回に訪室していたところ、転棟から2週間ほどが経過したころから特に症状を訴えるでもなく、「ねえねえ、私も血圧測ってくれん?」と血圧測定を求めるようになりました。
多弁で、自分への訪室だけでなく、他患者さんへの訪室であろうとスタッフを見かければ、早口でずっと喋り続ける状態でした。何度測定しても日々のバイタルに異常はなかったため、話し相手になってほしいのだろうと考えました。そこで私たちはいつも「さっき測りましたよ」と患者さんからの訴えを受け流し、主治医も毎朝の診察を行っていましたが、やはり異常は認められませんでした。
→こんなときあなたならどう考える?


事例についてナース専科コミュニティの会員のみなさんにどう考えるかを聞きました。回答者数は82人。

【山内先生の解説を先に読みたい方はこちら】

Q1 この患者さんを看護するときに、どこに問題があると考えるか

●認知症による病識の低さ、家族の病気に対する理解のなさ、医療者側の「患者は認知症があるから」という思い込みにより本当の変化が見逃される可能性。(ちいちいさん)

●認知症のため、自覚症状を的確に看護師に伝えることができない。血圧測定をもとめたということは、何か自分の体の変調を感じ、みてもらいたいという意思表示なのではないだろうか。(miuさん)

●認知症状の悪化と家族の差し入れによる糖尿病の悪化の危険性があります。(設定さんさん)

●孤独。(ほねさん)

●認知症があり、糖尿病でも本人はお菓子の間食を止めない。家族の糖尿病についての病識が乏しい。多弁で他患者さんの看護師のケアに支障がある。(匿名さん)

●(1)間食が多く、血糖のコントロールが困難、(2)認知機能低下による安静の確保が困難、(3)下肢筋力低下による転倒の危険がある、(4)血糖のコントロール不良により心疾患再発の危険がある、(5)生活環境の変化による認知機能低下の悪化(ぱくぱくさんさん)

●身体合併症管理が認知機能低下にともなって困難となり、二次的障害の危険がある。また家族の理解が深まらず治療に影響がでる可能性がある。転倒リスク高い。(こぼさん)

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