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【連載】がん化学療法による副作用のケア

がん化学療法による口腔粘膜炎へのケアと注意のポイントは?

解説 関谷秀樹

東邦大学医療センター大森病院 栄養治療センター嚥下障害対策チーム長、がんセンターがん口腔機能管理部長、口腔外科、東邦大学医学部口腔外科学教室

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がん化学療法開始前の注意点

がん化学療法のレジメンが決まり、口腔粘膜炎が発症しやすい薬剤を用いる場合には、化学療法の開始前に口腔粘膜炎のリスク要因をできるだけ取り除いておく必要があります。
 
もっとも重要なのは口腔内の細菌数を減らすことです。
感染源となりうるう歯や歯槽膿漏などを治療し、歯根に膿がたまっているような歯は必要があれば抜歯します。
歯石や歯垢、舌苔などを除去し、歯に尖った部分があれば削ったりカバーするなどして粘膜を傷つけないようにしておきます。
できればがんの化学療法にかかわる口腔ケアに詳しい歯科医院や口腔外科に相談するとよいでしょう。
 
患者さん自身のセルフケアも大切です。
歯ブラシはヘッドがコンパクトで毛の量が少なく、毛は細く短く柔らかめのものを選び、丁寧にブラッシングします。
歯間ブラシで歯間を清掃し、舌ブラシで舌苔を除去することを習慣づけます。
適切な口腔ケアを行えば口腔内の細菌数を1/10〜1/100にも減らすことができます。
 
口腔内が乾燥しないように保湿ジェルや保湿液の含嗽薬を使って保湿します。
口唇にもワセリンなどを塗って保湿し、粘膜を健康な状態に維持します。

がん化学療法開始後の注意点

がん化学療法開始後は、開始前より行っている口腔ケアを継続しつつ、口腔粘膜の状態や痛みの有無を観察し、口腔粘膜炎の早期発見に努めます。
また、口腔粘膜が乾燥していると粘膜が傷つきやすいうえ、食物を咀嚼して唾液と混ぜてひとまとめにしたり、咽頭に送り込むのが難しくなるので、保湿などの口腔ケアは食前に行うことが大切です。

口腔粘膜炎が発症したら、痛みの緩和と悪化防止のためのケアを行います。
通常の口腔ケアは、口腔粘膜炎の部位や痛みに注意しながら可能な範囲で継続します。
歯ブラシが使えない場合はスポンジブラシなどで優しくぬぐうように清掃を行います。口腔粘膜や口唇の保湿も継続します。

痛みが強い患者さんでも食事が食べられるように、食前に局所麻酔薬を含む含嗽薬などで痛みの緩和を図ります。
当院では、化学療法中の口腔粘膜炎のあるがん患者さんには、消炎・収れん作用のあるアズレンスルホン酸ナトリウム水和物、消毒作用があるベンゼトニウム塩化物、局所麻酔薬のリドカイン塩酸塩を含む含嗽薬を処方しています。
これを食前に口に含み1〜2分そのままにしておく(含みうがい)と感覚が麻痺して痛みが取れます。
食事は、麻酔が効いているうちに早めに食べるようにしてもらいます。

アズレンスルホン酸ナトリウム水和物を含む含嗽薬やスプレー、口腔粘膜用の保湿ジェルや保湿液は市販もされています。
口腔内の清潔の維持には含嗽薬も有効ですが、アルコールを含む洗口剤には消毒作用はほとんどなく、痛みを感じるだけなので、アルコールを含まないものを選びましょう。
またポビドンヨードは口腔内の環境を整えるために働く細菌まで殺菌してしまうので望ましくありません。
潰瘍を形成した部分には副腎皮質ステロイド軟膏を塗布して治療することもあります。
ただし、あまり長期にステロイドを使用すると口腔カンジダ症を発症するため注意しましょう。
痛みが強く食事の工夫をしても経口摂取が不可能な場合は、経管栄養に切り替えることもあります。