【連載】呼吸器に強くなる!

CO2ナルコーシスを生じさせない! 見逃さない! 5つのポイント

解説 宮本 毅治

東邦大学看護学部成人看護学助教

まずは$\rm{CO}_{2}$ナルコーシスに陥らないようにケアすることが重要ですが、もし生じてしまった場合、その徴候をいち早く察知し、対処しなければなりません。ここでは、看護師が行うべき観察やケアについて解説します。


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1 呼吸回数・呼吸パターンが重要

呼吸が抑制されると呼吸回数が減弱していくため、呼吸回数は重要な観察ポイントです。呼吸数の減弱がみられたら、意識レベル、$\rm{Sp0}_{2}$の値を確認しましょう。観察した所見の経時的な変化を見て判断していくことが重要です。
 また、感染症などでCOPDが悪化した患者さんは、病態の改善に伴い呼吸が正常な状態に戻っていきます。すると、同じ流量の酸素を投与していたとしても、酸素をより多く取り込むことができるようになります。病態が改善してきている時期も注意が必要であり、病態に対して必要以上の酸素が投与されてしまう危険性があるため、$\rm{Sp0}_{2}$の値を確認し値が高くなりすぎるまえに酸素流量を調整します。

2中枢神経症状を見逃さない

二酸化炭素が体内に貯留すると、さまざまな中枢神経症状があらわれます。例えば、意識障害、頭痛、ふるえ、発汗などがあり、こうした症状があらわれたら$\rm{CO}_{2}$ナルコーシスを疑います。特に意識障害は、昏睡状態に陥る前に、会話がおかしい、ぼうっとしている、反応が鈍いなどの徴候を見逃さないようにしましょう。

3$\rm{Sp0}_{2}$の値に注意

 慢性的に高二酸化炭素血症がある患者さんは、もともと低酸素血症となっていることが多いです。例えば、普段、$\rm{Sp0}_{2}$が93%くらいでコントロールしている患者さんで、$\rm{Sp0}_{2}$が98%となった場合、明らかに酸素が過剰に投与されているといえます。このような酸素投与の方法では$\rm{CO}_{2}$ナルコーシスのリスクが高くなります。酸素流量を変更した場合や、状態に変化があった場合は、$\rm{Sp0}_{2}$や呼吸状態のチェックを頻回に行いましょう。$\rm{Sp0}_{2}$のアラームの設定が可能ならば、上限アラームを設定しておきます。そして、$\rm{Sp0}_{2}$が常に95%以下程度(目標値は患者によって異なる)になるように酸素投与量を管理することが重要です。SpO2が目標値よりも上昇してきた場合は、$\rm{CO}_{2}$ ナルコーシスのリスクが上がることを認識して、医師の指示に従い、速やかに酸素流量を下げていきます。

4酸素投与はベンチュリーマスクが望ましい

$\rm{CO}_{2}$ナルコーシス、もしくはリスクがあると、“投与してはいけない”、“多くの流量の酸素を投与してはいけない”と思っている人がいるかもしれませんが、このような単純な考え方は危険です。低酸素状態が続くと、短時間でも脳に大きなダメージを与えるため、酸素の投与は重要な治療となります。
低酸素血症の場合は、目標値の$\rm{Sp0}_{2}$を維持できるまで酸素流量を増やしていく必要があります。重要なことは「低酸素血症は積極的に改善しながら、加えて、$\rm{CO}_{2}$ナルコーシスを考慮して$\rm{Sp0}_{2}$が高くなりすぎないように管理すること」です。
酸素投与では可能であれば、吸入酸素濃度($\rm{FIO}_{2}$)がコントロールできるベンチュリーマスクを用います。鼻カニューラを用いる場合、酸素量を上げるときは、1ℓ/分ずつ上げるようにし、呼吸パターンによりSpO2が変化する可能性を考慮して、呼吸状態を継続してチェックしていくことが重要です。

5意識障害=$\rm{CO}_{2}$ナルコーシスだけではない

 $\rm{CO}_{2}$ナルコーシスを疑うことができる患者さんでも、意識障害や呼吸停止を発見したら、その原因を$\rm{CO}_{2}$ナルコーシスだと決めつけないことが大切です。もしかしたら、低血糖や脳卒中かもしれません。まずは患者の重症度・緊急度を評価しながら、あらゆる原因を検索していくことが重要です。1つの病態に気を取られて、その他の重大な病態を見逃さないよう、患者を評価していく必要があります。

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