お気に入りに登録

【連載】がん化学療法による副作用のケア

まずは水分補給、それから消化がよく、水分と適度な塩分を含む食べ物を勧める

解説 長尾 美恵

独立行政法人 労働者健康安全機構 関西労災病院 栄養管理室 室長

水分だけでも摂取するように促す

食事が食べられなくても、脱水症状を防ぐために水分だけは摂ることを促します。熱すぎるのも冷たすぎるのも胃腸に負担がかかりますから、常温で飲むようにし、1回に一口か二口くらいの少量でもよいので、こまめに摂ることを繰り返すよう伝えます。コーヒーなどのカフェインの多いものや、炭酸飲料は避けるようにします。

食欲がわずかでも戻ってきたら、少しずつでも食事を再開していきます。少量でも回数を増やすことで補うようにします。まずは、胃腸に負担が少ない、消化がよくて軟らかいものから始めます。
消化のよい食材としては、脂肪分が少なく、軟らかいものが挙げられます。食欲が出てきたら、まずは水分が多くて軟らかいお粥やうどんを摂ってみます。タンパク源としては、卵、豆腐、白身魚がおすすめです。リンゴやバナナなどの果物もよいでしょう。ただし、軟らかいものがすべて消化がよいわけではありません。バラ肉や霜降り肉は脂肪を多く含んでいて消化によいとはいえませんから、避けるようにします。

のどごしがよくなるよう卵とじにしたり、あん仕立てにするなど、調理方法を工夫してみるのもよいでしょう。
消化の悪い食材には、食物繊維の多いキノコ類、ゴボウやレンコンといった根菜類、サツマイモなどがあります。カフェインや香辛料のような刺激物も、もちろんすすめられません。脂身の多い肉や油で揚げたものは、消化に時間がかかる脂質をたくさん摂ることになりますから、胃腸に負担をかけます。果物は病気のときでも食べられる消化がよいものと思われがちですが、キウイやパイナップル、ミカンなどの柑橘系の果物はあまり消化がよくありません。酸味の強い柑橘系の果物は嘔吐を誘発することもありますから、気をつけましょう。

電解質が失われていることにも注意

下痢のときは水分だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質も一緒に失われてしまいます。経口補水液は、体内に水分を取り込みやすいよう電解質と糖類の濃度を調整した飲料です。下痢による脱水症状を防ぐには効果的でしょう。スポーツドリンクは経口補水液より糖類の含有量が多く含むので、糖尿病など血糖値のコントロールが必要な方は脱水時の水分補給には2倍程度に薄めて飲むようにします。もちろん、お茶や水を飲んでもかまいませんが、薄めの味噌汁や、野菜を汁ごと食べられる野菜スープなども、水分とともに電解質を補給することが可能です。



患者さんのための日常生活のアドバイス詳細

ページトップへ